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新型コロナウイルスから子どもを守る…マスクとうがいの効果は疑問 「絶対にしてほしいこと」は

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うがいは日本だけの風習

 インフルエンザから身を守るときと、全く同じことをすればいいのです。09年に新型インフルエンザが発生し、社会不安が起きました。あのときも、私は、従来からのインフルエンザ対策を実行するよう、みなさんにお願いしました。

 新型コロナウイルスは 飛沫(ひまつ) 感染によって広がります。患者が (せき) をすると、「ウイルスを含んだ唾液」と「ウイルス粒子そのもの」が、2メートルくらいまで飛び散るのです。わが身を守ろうと、ドラッグストアに殺到してマスクを買い求める様子が報じられますが、ウイルス粒子はマスクを素通りしますので、実は防御効果はほとんどありません。3歳未満の子はマスクを嫌がりますよね。マスクは絶対に必要な物ではありません。

 ただ、「ウイルスを含んだ唾液」はあちこちに飛び散っていますので、手洗いは非常に重要になります。子どもが自分から進んで手を洗うことは、たとえ小学生くらいになっても絶対にありません。親が責任を持って、1日に何度も子どもと一緒に手洗いをしてください。石けんで20秒以上、流水で洗い流すのに20秒以上、何か童謡を2曲くらい歌いながら洗ってください。

 うがいは、やりたい人はやっても構いませんが、ほとんど効果はありません。これは日本だけの風習です。

咳が出る時、両手で覆うのは厳禁

 では、マスクは何のためにあるのでしょうか? これは、どんな種類のウイルスに感染していようと、咳をしている人は絶対に着けなくてはいけません。マスクをすれば、「ウイルスを含んだ唾液」は飛び散りません。こんな常識的なことが守れない大人が多すぎます。大人がマスクをすれば、子どももまねします。

 では、品切れでマスクがなかったら?

 咳が出る瞬間に、ひじをL字に曲げて口と鼻を覆ってください。以前、オバマ前大統領が、テレビ演説でお手本を見せていましたね。日本でも安倍首相にやってほしいです。絶対にやってはいけないことは、両手で口と鼻を覆うことです。その手には「ウイルスを含んだ唾液」がたっぷりと付いてしまいます。ハンカチで拭いたくらいでは取れません。その手で、ドアノブ、エレベーターのボタン、電車・バスのつり革に触れれば、ウイルスはどんどん広がっていきます。

 新型コロナウイルス感染から子どもを守る方法。それは、一つだけで十分です。しっかりと手を洗ってください。そうすれば、インフルエンザもウイルス性胃腸炎もかなり予防できます。(松永正訓 小児外科医)

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松永正訓(まつなが・ただし)
 1961年、東京都生まれ。87年、千葉大学医学部を卒業、小児外科医になる。99年に千葉大小児外科講師に就き、日本小児肝がんスタディーグループのスタディーコーディネーターも務めた。国際小児がん学会のBest Poster Prizeなど受賞歴多数。2006年より、「 松永クリニック小児科・小児外科 」院長。
 『運命の子 トリソミー 短命という定めの男の子を授かった家族の物語』にて13年、第20回小学館ノンフィクション大賞を受賞。2018年9月、『発達障害に生まれて 自閉症児と母の17年』(中央公論新社)を出版。ブログは http://wallaby-clinic.asablo.jp/blog/

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