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山中龍宏「子どもを守る」

医療・健康・介護のコラム

赤ちゃんの誤飲 怖いのは5か月以降…薬と化粧品に注意!

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 今回から、具体的な事故の例をあげ、その予防策について考えてみたいと思います。
子どもの事故は、発達と密接に関連しています。その代表的な例が誤飲です。

赤ちゃんの誤飲 怖いのは5か月以降…薬と化粧品に注意!

イラスト:高橋まや

診療終了間際に駆け込んできた父親

 午後5時45分、診療が終わる15分前に、父親が赤ちゃんを抱いて駆け込んできました。11か月の男の子です。10分前、タバコを1センチくらい食べたといいます。

 父親によると、口の中のタバコを掻き出してから連れてきたそうです。診察で口を見ても何もありません。「1~2センチ食べただけなら問題ありません。4時間様子を見て、変わったことがなければ大丈夫。その後は普通の生活でいいですよ」と話して帰しました。

 この子の8か月健診は、私が担当しており、その際に誤飲の予防についても話したはずですが、効果はありませんでした。父親が帰って5分後、母親がやってきました。

 「先生、パパを叱ってくれたでしょうね。そのために、パパに連れて行ってもらったんだから」

 父親に厳しいことを言わなかった私が叱られました。

2018年の相談は3万1493件

 「本来は、食べたり、飲んだりしないものを飲み込むこと」、また、「その年齢では食べてはならない、飲んではならないものを飲み込む場合」を誤飲といいます。飲み込んだものは、口から食道を通って胃の中に入り、そこから吸収がはじまり、吸収された成分は血中に入って各臓器に運ばれます。その過程で、臓器に機能障害が起こり、症状が出現する場合を、毒に (あた) る「中毒」と言います。

 わが国では、1986年に日本中毒情報センターが設立され、大阪中毒110番は24時間・365日、つくば中毒110番は9~21時・365日、電話による情報提供を行っています。これまでの三十数年間に、約140万件の問い合わせがありました。毎年、「前年とほぼ同様の結果」と報告されています。

 2018年1月から12月の1年間に受信した総件数は31,493件(単純計算で25分に1件)でした。0歳児が6,282件(20%)、1~5歳が16,976件(54%)でした。誤飲は生後5か月以降しか発生しません。18年の出生数は91.8万人。計算上は、5~11か月児の100人に1人以上の保護者が電話したことになります。この電話は話し中でつながらないことも多く、実際は5~10倍の電話がかかっているとのこと。ということは、7人に1人程度の赤ちゃんが誤飲し、保護者が電話をかけているということになります。

 誤飲し、電話をしない場合もたくさんありますので、「ほとんどの赤ちゃんが誤飲している」と言っても過言ではありません。医療機関を受診したケースでの誤飲の発生頻度は、1歳5か月までは4%、0~3歳未満は5%となっています。誤飲して医療機関を受診した例の再発率を調べると、2回以上誤飲を繰り返したのは9.5%と報告されています。

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山中 龍宏(やまなか・たつひろ)

 小児科医歴45年。1985年9月、プールの排水口に吸い込まれた中学2年女児を看取みとったことから事故予防に取り組み始めた。現在、緑園こどもクリニック(横浜市泉区)院長。NPO法人Safe Kids Japan理事長。産業技術総合研究所人工知能研究センター外来研究員、キッズデザイン賞副審査委員長、内閣府教育・保育施設等における重大事故防止策を考える有識者会議委員も務める。

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