「続・健康になりたきゃ武道を習え!」 山口博弥
医療・健康・介護のコラム
「怖い」と思ったときが、強くなるチャンス
ペアで技を出し合う「自由組手」
「得意な技があったら、いきなりそれを出すんじゃなくて、その前にほかの技を出すといいよ」
今月14日夕方、東京都渋谷区の極真会館総本部代官山道場。少年部の小学生や幼稚園児ら十数人に、道場責任者の赤石誠さん(38)がアドバイスした。全員が2人ずつペアになり、技を出し合って戦う「自由組手」の練習の最中だ。

組手の途中や戦う相手を交代する時などに、いろいろなアドバイスをする赤石さん(2020年1月14日、代官山道場で)
「たとえば右の下段回し蹴りが得意なら、その前に左の上段突きを出すと、下段蹴りが当たりやすくなります。対角線、斜めの線で攻撃するといいです」
なるほど、分かりやすい。そういえば、(かなり古いが)K-1グランプリ初期からの選手だったオランダのアーネスト・ホーストは、対角線で攻撃を散らすのがとてもうまかった。
「上の帯の人(級が上の人)は自分からあまり攻めないで! 下の帯の人はどんどん技を出して、一発でも当たるように!」
「(攻撃を)もらって終わるな~。必ず攻撃を返して!」
「うん、今の動きは良かったよ!」

組手のペアの身長の差が大きい場合は、上級者が膝をついて相手をする。小さい子のかわいい頑張りに、赤石さんの表情も自然と笑顔に
稽古への取り組み方、心構えも助言
道場生それぞれの動きを観察しながら、赤石さんは個別に、または全体に指示し、励ます。
技術的なアドバイスだけではない。稽古への取り組み方や心構えについても助言する。
「思いっきりやるのも、手を抜くのも、君たち次第です。明日かあさってかは分かりません。でも、1か月後、1年、2年、3年後、常に思いっきりやる気持ちを持って稽古を続ければ、別人みたいになる。必ず変わってくる。いいですか?」
「まず、あいさつすることが大事です。対人稽古は相手がいないとできないからね。気持ちを持って『ありがとうございました』と言ってください」
「組手の稽古は、痛かったり、きつかったり、怖かったりします。やめたいな~、と避けたくなることもあるでしょうが、それを乗り越えて取り組んでいけば、強さが身につきます。けっしてあきらめず、困難なことから逃げないこと。むしろ、『怖い』と思った時が、強くなるチャンスだと思いましょう」
大人にとっても普遍的な「真理」を、子どもたちに分かりやすい言葉で伝える。高圧的ではないが、その言葉は力強い。
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競技を通して人間や自然の仕組みを知ること
寺田次郎 六甲学院放射線科不名誉享受
普通の子供が人見知りなのは、個として生きていくための本能だと思いますが、人間として進化していくためには他や環境を知らねばなりません。 文字、書籍...
普通の子供が人見知りなのは、個として生きていくための本能だと思いますが、人間として進化していくためには他や環境を知らねばなりません。
文字、書籍、ITの進化は時代や空間を超えて多くの人の考えや動きに触れることを可能にしてくれました。
このように、武術やスポーツの間口があることで、そのためのきっかけができていきます。
見の目、観の目、なんていうものもいきなり実践できるものでもありません。
自分にできる事、相手のできることを知ることによって、後の先を取れる確率も上がってきます。
そういう意味で、先に年下や格下の方に攻撃させることも学びです。
成功も失敗も積み重ねることで、学びに厚みができていきます。
怖いと思った時が強くなるチャンスというのは、相手の鋭い動きも知識や経験で見きってしまえばチャンスに変わるという意味だと認識していますが、連載の内容に期待したいと思います。
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