文字サイズ:
  • 標準
  • 拡大

常喜眞理「女のココロとカラダ講座」

 思春期から妊娠・出産、更年期と、変化していく女性の体は様々な健康リスクに見舞われます。そこに、子育てや人間関係のストレスも重なって……。各年代の女性に特有な心身の悩みを乗り切るには、何に気をつければいいのでしょうか。健康診断や会社員のメンタルヘルスにも取り組む開業医、常喜眞理さんが答えます。

妊娠・育児・性の悩み

バリウム検査が苦手なあなた、内視鏡がお勧めです…高い診断力 被曝なく女性にも安心

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック

 健康診断を受けなかった方、きっと人事部から催促のメールが届いただろう。私は開業医の傍ら、慈恵医大附属病院の健診センターで人間ドック診察や胃カメラ検査の担当をしている。

 胃カメラ検査は注射薬を使うと楽に検査ができるのだが、まだ抵抗があり、会社から指示されている「バリウム検査で結構」という方も多い。胃のバリウム検査は、ある程度、ピロリ菌関連の胃炎を知ることができ、大きな病気がわかるという点では、受けないよりは良い。しかし、バリウムを 誤嚥(ごえん) してうっかり気管支に入れてしまうということもあるので、注意をしたい。

緊張感で左右がわからなくなる人も

 バリウム検査では、どろっとしたバリウムという液体の造影剤と、胃を膨らませる発泡剤の液体を開始直前に飲む。発泡剤には、胃を膨らませて、胃の壁の凹凸を見やすくする大事な役割がある。そのため、ゲップしてしまったら、もう一度飲まなければならない場合もある。検査の台に乗ると、検査中はアクロバティックな動き。マイクを通して「右を向け」「左を向け」「腰を上げろ」「手をあげろ」と次々指示がくる。グルグル回らないと胃の壁全体のきれいな凹凸が描き出せないのだ。

 仮に胃を透明なペットボトルに見立てたとして、バリウムを注ぎ込んで、それがボトルの内側にべったりつくようシャカシャカと振るイメージ。こうして、何かでき物がないかを外から見る。さっさと体を動かさないと、バリウムが胃の奥の十二指腸に流れてしまう。検査中、緊張感のあまり、左右がわからなくなる人もいる。撮影する側も、せっかく放射線を浴びて検診を受けてもらっているのだから真剣。優しくしたいが、ビシビシと動きの指示を出さざるを得ないわけだ。

 また、バリウムを飲んだ後はそれを自力で出さなければいけない。場合によっては3週間も腸の中に残って、腸閉塞の原因となることもある。

妊娠の可能性がある女性には

 胃がんの発見が難しかった時代、この検査は画期的な方法だった。時代が移り、これからは血液1滴でがんがわかる時代がやってくるだろうと期待しているが、これにはまだ、時間がかかりそうだ。バリウムに代わる方法として、現時点で私がお勧めしたいのは、胃カメラによる内視鏡検査だ。

 とくに女性の場合、妊娠のことを考えると 被曝(ひばく) は避けたいし、診断力も内視鏡の方が圧倒的に高い。バリウムでは、残念ながら早期がん発見はかなり難しく、仮に「再検査」と言われたら、精密検査として結局、内視鏡検査を受けることになる。検査翌日からは、特に生活上気をつけることもない。

 食道から胃・十二指腸まで見る内視鏡検査は、まだ口から管を入れることが多く、それに抵抗がある方も多いだろう。検査時間はものの5分程度なのだが、私も苦手である。そんな方は、検査の時に眠くなる静脈注射をして検査してくれるところを選ぶと、うとうとしている間に検査が終わるから、ずいぶん楽だ。

1 / 2

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック

joki-mari

常喜 眞理(じょうき・まり)

 家庭医、医学博士
 1963年生まれ。東京慈恵会医科大学卒業。消化器病学会専門医、消化器内視鏡学会専門医・指導医、内科学会認定医、日本医師会認定産業医。院長を務める常喜医院(内科、皮膚科)での診療のほか、慈恵医大新橋健診センターでは診療医長として健康診断(人間ドック)の内科診察を行い、婦人科や乳腺外科の診断を担当する。様々な大手企業の産業医でもあり、職場におけるメンタルヘルスのサポートを長年行っている。著書に「オトナ女子 あばれるカラダとのつきあい方」(すばる舎)。現在、BS-TBS「Together」に準レギュラー出演中。

常喜眞理「女のココロとカラダ講座」の一覧を見る

1件 のコメント

コメントを書く

バリウム検査苦手です。

ねこおばさん

本当に苦手で、バリウムは何とか飲めますが発泡剤がどうにも苦手です。 普段から炭酸飲料のまないので余計に です。 なんとか終わっても、下剤飲んで出...

本当に苦手で、バリウムは何とか飲めますが発泡剤がどうにも苦手です。
普段から炭酸飲料のまないので余計に です。
なんとか終わっても、下剤飲んで出しても一週間ぐらい腸の調子が
悪いです。あんまり合っていないんでしょうね。

次回からはやはり内視鏡お願いしようと思いました。

つづきを読む

違反報告

すべてのコメントを読む

コメントを書く

※コメントは承認制で、リアルタイムでは掲載されません。

※個人情報は書き込まないでください。

必須(20字以内)
必須(20字以内)
必須 (800字以内)

編集方針について

投稿いただいたコメントは、編集スタッフが拝読したうえで掲載させていただきます。リアルタイムでは掲載されません。 掲載したコメントは読売新聞紙面をはじめ、読売新聞社が発行及び、許諾した印刷物、読売新聞オンライン、携帯電話サービスなどに複製・転載する場合があります。

コメントのタイトル・本文は編集スタッフの判断で修正したり、全部、または一部を非掲載とさせていただく場合もあります。

次のようなコメントは非掲載、または削除とさせていただきます。

  • ブログとの関係が認められない場合
  • 特定の個人、組織を誹謗中傷し、名誉を傷つける内容を含む場合
  • 第三者の著作権などを侵害する内容を含む場合
  • 企業や商品の宣伝、販売促進を主な目的とする場合
  • 選挙運動またはこれらに類似する内容を含む場合
  • 特定の団体を宣伝することを主な目的とする場合
  • 事実に反した情報を公開している場合
  • 公序良俗、法令に反した内容の情報を含む場合
  • 個人情報を書き込んだ場合(たとえ匿名であっても関係者が見れば内容を特定できるような、個人情報=氏名・住所・電話番号・職業・メールアドレスなど=を含みます)
  • メールアドレス、他のサイトへリンクがある場合
  • その他、編集スタッフが不適切と判断した場合

編集方針に同意する方のみ投稿ができます。

以上、あらかじめ、ご了承ください。

最新記事