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「教えて!ドクター」の健康子育て塾

医療・健康・介護のコラム

子どもの便秘 浣腸や下剤を使うとくせになる?…牛乳が原因のことも

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 お子さんの便秘について、皆さんはどれくらいご存じですか? 「便秘くらい知ってるよ!」という方、次の項目についてはいかがでしょう。

  • 救急外来を腹痛で受診するお子さんの原因で、最も多いのは便秘である。
  • 便秘が原因で吐くこともある。
  • 実は水をたくさん飲めば飲むほどいいわけではない。
  • 乳酸菌製剤は、子どもの便秘に効果があるかどうか結論は出ていない。
  • 綿棒 浣腸(かんちょう) や「のの字マッサージ」は、やってもいいけど医学的根拠は不明。
  • 牛乳を飲むと便が緩くなると思われがちだが、牛乳が原因の便秘もある。

 いかがでしょう。子どもの便秘はありふれた症状ですが、意外に知られていないことも多いのです。今回は、小児慢性機能性便秘症診療ガイドライン(2013年) 1) をはじめとするいくつかの医学文献をもとに、子どもの便秘について解説したいと思います。

子どもの便秘 浣腸や下剤を使うとくせになる?…牛乳が原因のことも

イラスト:江村康子

最初に気になるのは生後数か月

 便秘とは、便が腸にたまって出にくい状態、もしくは排便に苦痛を伴う状態を言います。排便が週2回以下(3~4日に1回以下、というお医者さんもいます)の場合、排便時の肛門の痛みやいきみが強い場合は便秘かもしれません。便秘がひどいと、便が漏れることもあります。「便秘なのに便が漏れちゃうってどういうこと?」と思われるかもしれませんね。ひどい便秘で便が直腸にたまり過ぎると、便があふれて、少しずつ漏れ出すこともあるのです。

 最初に気になるのは、生後数か月の赤ちゃんの時期かもしれません。この時期に便の回数が減ることがあります。便を出す力がまだ弱かったり、踏んばり方が上手でなかったりするのが原因なら、多くは自然に改善します。機嫌も良く、おなかも張らず、体重増加も順調であれば心配なく、肛門刺激などで対応しますが、長引くときはまれに生まれつきの病気が隠れていることもありますので、一度病院で相談してください。

避けたい「便秘の悪循環」

 子どもの便秘の頻度は、海外の報告には0.7~29.6%と差があり、日本での報告は少なく頻度も不明です 1) 。しかし実は、子どもが腹痛で外来を受診する場合、原因として最も多いのは便秘です。

 便秘が起きやすい時期は、次の三つといわれています。<1>離乳食の開始時期<2>トイレトレーニングの時期<3>入園や入学などで自宅外の排便が必要になる時期、です。

 思い返すと、私自身も、小学校に入ってからしばらく、トイレで排便をするのを人に見られるのが極度に恥ずかしく、誰もいないのを見計らって個室に飛び込み、個室の外が静まりかえったのを待ってこっそり出ていたことを覚えています。今から思えば、何であんなに恥ずかしかったのかとも思いますが、友人にからかわれたくない一心だったのでしょう。こうした時期には「便秘の悪循環」が起きやすいとされています。便が腸に長時間停滞することで水分が吸収されて硬くなり、「排便時に痛みを伴う」→「がまんする」→「腸に常に便がたまると便意を感じにくくなる」→「さらに便秘がひどくなる」という悪循環です。これに陥ると、なかなか良くなりません。便秘治療の最大の目的は、この悪循環を断つことにあります。早めの治療開始がより効果的だとされています。

まずは詰まった便を取り除く

 病院を受診する目安は、1週間以上続くなど頑固な便秘を繰り返す場合、排便痛で排便をがまんしたり、排便時に出血があったりする場合などです。治療としては、浣腸や下剤で詰まった便を取り除くことが第一歩です。次に食事療法と薬物療法を行います。

 食事指導では、積極的に食物繊維(野菜、海藻、果物など)を摂取することをお勧めします。食物繊維は消化できないので便の量を増やし、腸の中で水分を含んで便を軟らかくする働きがあります。つまり、便通改善効果があるのです。

 食物繊維が豊富な食品は表の通りです。

  • ほうれん草やニンジン、カボチャなどの緑黄色野菜
  • サツマイモやジャガイモなどのイモ類
  • 根菜やキノコ、納豆やきなこなどの豆類
  • わかめや寒天などの海藻

 なお、便が詰まった状態で食物繊維だけ増やすと、出口が塞がれた状態のままで便が増え、腹痛がひどくなることもありますのでご注意ください。

トレーニングはゆとりを持って

 適切な排便習慣を整えながら、数か月間、薬物療法を続けます。医師の指示にしたがって行いますが、内服開始後6か月以内に規則正しい排便習慣になる子は約半数で、「2年以内に内服を中止できる例は約半数」と言う専門家もいます 2) 。すぐ良くなるとは限らず、数年かかることもあるのです。

 生活指導としてトイレトレーニングも進めていきますが、実は、かえって便秘が悪化することもあるため注意が必要です。例えば、トイレトレーニングの最中に失敗して怒られると、「叱られるからうんちしたくない」となってしまうこともあるためです。そもそも、怒っても、子どもは何で怒られたかが分かりません。そうならないためにも、トレーニングは保護者に精神的・時間的なゆとりがある時期に行うことが大切です。トレーニングでは、排便がうまくいったかどうかの事実ではなく、「座っていられた」という努力に対してごほうびを与えることが有効とされています 3)

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坂本昌彦(さかもと・まさひこ)

 佐久総合病院佐久医療センター・小児科医長
 2004年名古屋大学医学部卒。愛知県や福島県で勤務した後、12年、タイ・マヒドン大学で熱帯医学研修。13年、ネパールの病院で小児科医として勤務。14年より現職。専門は小児救急、国際保健(渡航医学)。日本小児科学会、日本小児救急医学会、日本国際保健医療学会、日本国際小児保健学会に所属。日本小児科学会では小児救急委員、健やか親子21委員。小児科学会専門医、熱帯医学ディプロマ。現在は、保護者の啓発と救急外来の負担軽減を目的とした「教えて!ドクター」プロジェクトの責任者を務めている(同プロジェクトは18年度、キッズデザイン協議会会長賞、グッドデザイン賞を受賞)。

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