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認知症介護あるある~岡崎家の場合~

医療・健康・介護のコラム

3枚目のパッドはこう使う! これがプロのオムツ交換テクだ

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3枚目のパッドはこう使う! これがプロのオムツ交換テクだ

漫画・日野あかね

機動力の「パンツタイプ」×防御力の「テープタイプ」

 家族を介護していると、いずれ避けて通れないのがシモの問題。我が家でも、15年ぐらい前から使い捨ての紙オムツが必需品です。この大人用の紙オムツ、大きく2種類に分かれることをご存じですか?

 下着と同じ形の「パンツタイプ(リハビリパンツ)」は、本人が動きやすく、脱ぎ着も楽な反面、吸水力には若干の不安あり。ウエストや足回りにゴムが入っているのですが、そこに隙間ができておしっこが漏れやすいのです。

 一方、平たいオムツで下腹部をくるみ、テープで留める「テープタイプ」は、テープを貼る位置を調節すれば、体にぴったりフィットして漏れにくいのが大きな利点です。ただし、つけるとちょっと歩きづらいので、就寝時や、横になっている時間が長い人に向いています。

「男のプライド」で漏れまくり

 よくお茶を飲む父さんは、尿の量がとても多いのです。ちょくちょく交換できる昼間はパンツタイプでもいいのですが、夜寝る時は長時間、漏れを防ぐことができるテープタイプがベストです。ところが父さんは、家ではテープタイプのオムツを拒否。理由は、生まれたばかりの赤ちゃんのようなスタイルでオムツを替えてもらわねばならないから。妻や娘の前でその姿になるのは、昭和の男のプライドが許さないようです。

 母さんも、父さんの心情を気遣ったのか、はたまた自分自身が夫のそんな姿を見たくなかったのか、父さんの意向を受け入れていました。

親切なスタッフが指導

 かくして岡崎家では、時には床まで染み出たおしっこの拭き取りと、びしょぬれの父さんのパジャマと布団の洗濯が、すっかり朝のルーチンとして定着していたのです。

 母さんは、この状況を容認しながらも負担感が大きく、父さんが一時入所している老人保健施設(老健)のスタッフについ「朝起きると盛大に漏れているので、掃除と洗濯が大変」と、愚痴ったのです。そして、我が両親の心の機微などつゆ知らぬスタッフは、純粋な親切心から「朝までモレづらいオムツ(当然、テープタイプ)のあて方を教えましょうか?」と提案してくれたのです。お申し出自体はありがたいことなので、父さんが老健を退所する日に、迎えに行く私が習うことになりました。

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認知症介護あるある~岡崎家の場合~

岡崎杏里(おかざき・あんり)
 ライター、エッセイスト
 1975年生まれ。23歳で始まった認知症の父親の介護と、卵巣がんを患った母親の看病の日々をつづったエッセー&コミック『笑う介護。』(漫画・松本ぷりっつ、成美堂出版)や『みんなの認知症』(同)などの著書がある。2011年に結婚、13年に長男を出産。介護と育児の「ダブルケア」の毎日を送りながら、雑誌などで介護に関する記事の執筆を行う。岡崎家で日夜、生まれる面白エピソードを紹介するブログ「続・『笑う介護。』」も人気。

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日野あかね(ひの・あかね)
 漫画家
 北海道在住。2005年にステージ4の悪性リンパ腫と宣告された夫が、治療を受けて生還するまでを描いたコミックエッセー『のほほん亭主、がんになる。』(ぶんか社)を12年に出版。16年には、自宅で介護していた認知症の義母をみとった。現在は、レディースコミック『ほんとうに泣ける話』『家庭サスペンス』などでグルメ漫画を連載。看護師の資格を持ち、執筆の傍ら、グループホームで介護スタッフとして勤務している。

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