40代から備えよう「老後のお金」 楢戸ひかる
医療・健康・介護のコラム
施設見学をしたら「看取りをしていますか?」と聞いてみよう
前回、ファイナンシャルプランナーの畠中雅子さんにお誘いいただき、 高齢者施設の見学に行った話 を書きました。畠中さんは、国内外を含め高齢者施設を300回以上見学した、いわば施設見学のプロです。その畠中さんが、見学の時に必ずされる質問があります。それは、「 看取 りをしていますか?」です。
施設は「終のすみか」か?
高齢者施設は「 終 のすみか」と言われますが、「亡くなる間際」には、医療機関でのケアを希望する方(もしくは親族)が多いようです。現状では、「高齢者施設にいても、亡くなるのは病院」というケースが多いのではないでしょうか?
畠中さんは、「最近は、たいていの施設が『看取り可』としていますが、実際に施設で亡くなる方は少ない印象です」と話します。
9割以上を看取る施設
今回、見学させていただいいた有料老人ホーム「 SOL 星が丘」(川崎市)は9割以上の方が、病院ではなく施設で亡くなるそうです。この数字を可能にしているのは、何でしょうか? 同ホームのハウス長である滝川房江さんに取材をしました。
「ご入居者の平均年齢は90歳前後で、医療依存度が高い方が多いというのがこの施設の特徴です。ご入居者とご家族にどんなご希望があるのか? そこを基軸にして、それにそった介護を心がけています」(滝川さん)
平均年齢が90歳前後ならば、きっと認知症の人もいます。そういう方の希望を、どうやって知るのかを聞くと、「その方の言葉、表情、行動、そして関わりをした後の様子、そういったことから、『その方らしい暮らしが何か?』を、私たちが読み取ることは可能だと思っています」ということでした。
小さな変化(たとえば食が少し細くなったなど)を見逃さず、その都度、カンファレンス(話し合いの場)を持つそうです。
「話し合った内容をケアプランとして文字化をすることにより、『共通の道しるべ』として、その方に関わる人全員で共有しています」(滝川さん)
医療依存度の高い高齢者の生活を支えるために、介護職員、看護師、理学療法士、提携している病院の医師など、たくさんの立場の人が関わっています。また、ご家族とのコミュニケーションも不可欠でしょう。その年齢の方の体調は刻々と変化していき、フィットする対応は、つねに更新が必要なのです。
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