今井一彰「はじめよう上流医療 あいうべ体操で元気な体」
医療・健康・介護のコラム
口呼吸は危険がいっぱい 自分ですぐに改善できます
日本人の3分の1が患っていると言われる花粉症。今年も、目の玉をくりぬいてほしい、鼻をごそっと丸洗いしたい、といった過激な思いにとらわれる人も少なくないでしょう。
花粉症はある日、突然発症し、くしゃみ、鼻汁、眼のかゆみ等々に悩まされることになります。春だけじゃなく、秋の花粉症を持つ人も増えてきました。
今回の「上流医療」(前回コラム参照)はズバリ、お手軽な鼻づまり解消法。花粉症対策にも有効ですから、ぜひ試して下さい。
あなたの舌の位置は?
自分のことは、あまりよく知らないものです。まずは、あなたの舌が正しい位置にあるかどうかを確認しましょう。「鼻づまりのことなのに、舌とは?」と疑問に思った方、後でご説明します。
口を軽く閉じたとき、あなたの舌先は
1 上下の歯の裏に当たる
2 上あごについている
3 どこにもついていない
さて、どれでしょうか。
本来の舌位置は、2の「上あごについている」です。
このCT画像(ピンク色が舌)では、舌と上あごの間にすき間が空いていますね。これは1の状態。少し舌が下がっています。これを「 低位舌 」といいます。
舌は200グラムくらいの筋肉の塊で、スマホと同じくらいと言われます。これが加齢とともに筋力が弱り、だんだんと下がってきてしまいます。それに伴って口が開き気味になり、口呼吸となるというわけです。
でも最近はお子さんでも、舌の力が弱く、口呼吸になっているケースが多くなってきているのも健康問題の一つです。これを口腔機能発達不全症といいます。
鼻呼吸に変える「あいうべ体操」
口呼吸を鼻呼吸に変えるために、私が考案したのが、口の体操「あいうべ」です。「あいうべ」を行うと、舌や口の周囲の筋肉が鍛えられ、口呼吸をしなくなります。やり方を説明しましょう。
(1)「あー」と、口を大きく開く。
(2)「いー」と、口を大きく横に広げる。
(3)「うー」と、唇をとがらせて口を前に突き出す。
(4)「べー」と、舌を思い切り突き出して下に伸ばす。
大げさなぐらい口をしっかり動かし、(1)~(4)を5秒ぐらいかけてゆっくり行ってください。
1日30回が目安 舌筋鍛える「べー」
これを1回として、1日30回を目安に行います。無理のない程度であれば、それ以上行ってもかまいません。また、朝昼晩に10回ずつ、3度に分けて行っても結構です。
「あいうべ」は、いつ、どこでやってもかまいませんが、特にお勧めは入浴時です。温かい浴室なら、「あいうべ」で口を大きく開けても、冷えたり乾燥したりする心配がありません。
「あいうべ」のうち、「あ」「い」「う」という口の動きは、口輪筋や表情筋を鍛えるのに役立ちます。特に、唇をとがらせて前に突き出す「う」の動きは、口を閉じる力をつけるのに有効です。そして、「べー」と舌を出すことで舌筋が鍛えられます。舌を正しい位置に引き上げるためには、舌筋を鍛えることは最も重要といえます。
あいうべ体操を10回行ったら、舌はどうなるのでしょうか。
それを見たのが、こちらのCT画像です。舌が、上あごにぴったりとくっついています。
この状態では口が容易に開きませんから、自然と鼻で呼吸することができます。あいうべ体操をすると、鼻が通り、風邪をひきにくくなっていきます。
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