産業医・夏目誠の「ハタラク心を精神分析する」
医療・健康・介護のコラム
温厚な課長が若手社員にパワハラ的言動!?……問題は「大人の発達障害」だった
販売会社で法人営業をしている23歳の男性、坂本太郎さん(仮名)は、顧客企業5社からクレームを受けました。「販売契約書が届かない」「要望が伝わっていない」「うち合わせとは数字が違う」などです。
何度もクレームを受けた木田営業部法人第一課長(仮名)は、最初は驚きました。なぜなら初歩的なミスばかりだからです。ところが、注意をしてからも、同じようなクレームが続きました。
課長は何度も根気よく指導を繰り返しましたが、同じようなミスが重なると、つい怒り口調になってしまいました。
繰り返される類似のミス……障害のためでは?
イラスト 赤田咲子
温厚な上司が、部下を怒って指導や叱責をしています。「なぜ、木田課長が」と周りの関心を引き付けたのです。そんなうわさをしている時、同じような経験をした多田係長(仮名)は、坂本さんに「発達障害」の可能性があるのではと考えました。思い切って、上司の大山部長(仮名)に、自分の経験を話し、対応を依頼しました。
部長も同じような疑問を持っていたので、「ありがとう」と言い、「課長と一緒に、産業医に相談に行くよ」と伝えました。
クレームが頻回、部課長が産業医に相談へ
課長:相談がありまして。
部長:彼の部下の件ですが、気になっていまして。
私(産業医):それで。
課長:1人で得意先の会社を訪問するようになった10月頃から、クレームが続いています。
私 :どのような内容でしょうか?
課長:「要望が伝わっていない、契約書作成ができない、支払いがなされていない」などです。
部長:その度に課長は事情を聞き、指導をしてきました。私にも報告があります。
私 :それでもミスは続くのでしょうか?
課長:おっしゃる通りです。
部長:課長は、今まで部下を叱ったことがありませんが、今回ばかりは怒って指導や叱責をしました。
私 :なるほど。
「分かりました」と言うが、同じミスを
課長:指導のたびに、彼は「わかりました、注意します」と言うので、信じるわけですけど、同じことが繰り返されるんです。
部長:同じような経験をした係長が、「発達障害の可能性があるから」と助言してくれたので、相談に来たわけです。
私 :確かに発達障害が考えられますね。まず、本人の同意を得て、相談に来るように勧めてください。
課長、部長:そうします。
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久々に聴覚情報処理障害の記事を読み返しましたが、言葉と認識の問題は大きいですよね。
発達障害でなくても、同じような事態は起こりえます。
返事だけが威勢がいい新人社員。
もっとも、上司や職場の雰囲気がそれを求めることもありますよね。
成長は速すぎても遅すぎても、全体のバランスを崩しますし、本当はわからなくてもハイと言わなければいけない雰囲気。。
その部分まで想像して、この記事を読まないととても危険です。
上司の認識や発言の方が問題があって、職場の同調圧力が暴走した時に、罪のない若手が逆に苦しむことになるからです。
また、今の中高年の時代と違って、学校と現場の内容の距離感が遠いですし、短期の実績にシフトせざるを得ない時代背景があります。
サッカーの世界には、「ケチャップドバドバ」といって、ある日突然順調になるさまを表現した言葉があります。
僕も現場で温厚でいられるかは不明ですが、時代や文化の違いも含めていかないと危険です。
いくつもの新規の仕事を一気に習熟して優秀になれるのは、むしろ、才能がある人です。
この記事というか、そこまで極端でないケースが魔女狩りに使われると社会の被害者が増えます。
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