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変わる早産対策…張り止め点滴 短期も

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 妊娠37週未満の早産は、お産全体の約5%に起き、赤ちゃんの命にかかわることもある。医療現場では、治療薬の使い方の見直しや、より早い段階での新たな一手を模索する研究が進められている。(中島久美子)

変わる早産対策…張り止め点滴 短期も

 早産は、子宮に細菌が感染したり早産経験があったりする妊婦に起きやすい。やせている人や、たばこを吸う習慣がある人などもリスクが高い。 ちつ とつながる子宮 頸管けいかん が短くなってきたり、破水や出血などの症状があったりすると注意が必要になる。

 進行すると、「切迫早産」になる。早産の一歩手前で、規則的に子宮が収縮し、子宮頸管が軟らかくなり、子宮口も開いてくる。症状が重い場合は、子宮の収縮を抑える点滴薬(張り止め)を投与する。「リトドリン塩酸塩」が一般的だ。

  効果「長期と差なく」

 このタイプの薬は、脈が速くなったり 動悸どうき を起こしたりする副作用がある。欧州医薬品庁は2013年、点滴薬を張り止めとして使用する場合は、最大48時間とするよう勧告を出した。

 日本では使用の制限はなく、長期間使われていることが多い。日本周産期・新生児医学会が15~16年、主要な医療機関を対象に実施した調査では、点滴治療を受けた妊婦のうち、55・5%が、15日以上、投与を受けていた。また、点滴薬を使った妊婦全体の約3割に動悸や手指のふるえなどの症状が出ていた。

 昭和大病院(東京都品川区)は14年から、点滴は原則48時間以内に限ると独自にルールを決めている。16年に、変更前後の計30か月に院内であった出産約3000件を検証すると、早産率は変更前11・8%、変更後10・6%で、明らかな差はなかった。産婦人科講師の仲村将光さんは「長期使用で出産までの日にちを延ばす効果は確認できなかった」と説明する。

 薬の使用をやめると、不安になる妊婦も多く、丁寧な説明が必要になる。早産に詳しい青木産婦人科医院(東京都世田谷区)院長の青木宏明さんは、「長く使わないようにするには、より多くのデータを蓄積することが大切。早産の対応ができる医療機関に妊婦を緊急搬送する体制を充実させていくことも重要です」と指摘する。

  器具やホルモン剤で

 名古屋市立大など6病院は、短くなった子宮頸管にシリコーン製の器具「ペッサリー」をはめ、早産を防ぐ研究に取り組む。子宮頸管が短くならないようにする効果が期待できるという。

 名古屋市の女性(33)は昨年夏に装着し、産休を取るまで立ち仕事をこなした。今月、早産にならず、出産できた。「ペッサリーは、入院せずに装着できた。仕事も育児も大変で、助かりました」と話す。

 一方、黄体ホルモンを補充することで、子宮の収縮などを防げるとする報告がある。日本医大多摩永山病院(東京都多摩市)など12病院は、子宮頸管が短い妊婦の膣に、黄体ホルモン剤を入れて早産を防ぐ研究を進めている。

 妊娠高血圧症候群などの合併症があり、母子を救命するために早産となることもある。日本早産学会理事長の中井章人さんは、「合併症の発症を防ぐため、妊娠前や妊娠初期から対策を進めていきたい」と話している。

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