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夫と腎臓とわたし~夫婦間腎移植を選んだ二人の物語 もろずみ・はるか

医療・健康・介護のコラム

「キノコをもらったマリオのよう」と言われ…でも、夫がくれた腎臓 いつまで維持できるの?

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先が見えない未来に戦々恐々とするよりも

 私のキノコは、永遠ではないんだ。そう肝に銘じて、私は毎月、腎機能の検査に臨んでいる。血圧は上がっていないか、尿潜血や尿たんぱくの反応はないか。

 血清クレアチニンの微増に神経質になり、「石田先生、私の腎臓は大丈夫でしょうか」と、ついつい、不安な思いを吐露してしまう。怖いのだ。もらった命を、1日でも長く生かすのが夫に報いることだとわかっているから。

 けれど、こうして神経をすり減らすのはどうだろう。レシピエントの先輩方には、移植腎を20年間、維持している方もいる。彼らが、神経質に暮らしているかというとそうではない。フルに働き、たまにはお酒をたしなみ、旅に出かけ、マラソンを走る。ドナーの恩に報いるために、人生を精いっぱい生きようとする彼らはたくましい。

 私は2年前、夫から腎臓を一つ分けてもらう夫婦間腎移植を受けた。中学生の時から、25年かけて衰えていった腎機能は、一夜にして正常値に戻り、私はまさしく「キノコをゲットして元気になったマリオ」だった。

 マリオはキノコを取って大きくなると 猪突(ちょとつ) 猛進する。もちろん、体を酷使してむちゃな生活をするなど、あってはならないが、でも、いつどうなるかわからない未来におびえながら「今」を消耗するのは、腎臓の提供者である夫も望んでいない。

 しっかりしろよ。一度きりの人生だぞ。鏡に映る39歳の自分を鼓舞する毎日だ。(もろずみはるか 医療コラムニスト)

監修 東京女子医科大学病院・石田英樹教授

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もろずみ・はるか

医療コラムニスト
 1980年、福岡県生まれ。広告制作会社を経て2010年に独立。ブックライターとしても活動し、編集協力した書籍に『成約率98%の秘訣』(かんき出版)、『バカ力』(ポプラ社)など。中学1年生の時に慢性腎臓病を発症。18年3月、夫の腎臓を移植する手術を受けた。

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