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Dr.若倉の目の癒やし相談室 若倉雅登

医療・健康・介護のコラム

存在しないものが見えて心配…視界に小さいぶつぶつや光、飛蚊症? 別の症状? 治療は必要?

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存在しないものが見えて心配…視界に小さいぶつぶつや光、飛蚊症? 別の症状? 治療は必要?

 眼科医として45年、現在は神経眼科、心療眼科を専門とする私、若倉雅登のコラムが「Dr.若倉の目の癒やし相談室」としてリニューアルしました。

 目(視覚)の不調は心の不調につながり、心の不調が視覚の不都合として表れることがあります。知っていれば怖くない変化なのに、過剰に心配したり、早く発見されれば対応策があり、回復可能なものも少なくありません。

 「相談室」は、読者の皆さまの身近なそうした問題を取り上げ、一緒に考えるコラムです。日ごろの質問、疑問をコメント欄にお寄せいただければ、それがテーマになるかもしれません。私で分からないことがあれば、応援を頼もうとも考えております。お付き合いのほど、どうぞよろしくお願いいたします。

 そこには存在しない、邪魔なものが見えると誰でも心配になります。

 相談者Aさん(60歳代女性) 私、よく ()(ぶん)(しょう) が出るのですが、ネットに網膜 剥離(はくり) の時に出るということが書いてあったので心配です。

  若倉  左右どちらの目ですか

  Aさん  あら、どちらの目かしら、両目だと思いますが。

  若倉  飛蚊症なら左右どちらかの目に起きているか、自覚できるはずです。飛蚊症という言葉を使わずに症状を説明してください。

  Aさん  目の中に小さいぶつぶつが見えたり、光のようなものが走ったりします。

  若倉  それが見えるのは、どんな状況の時ですか。いつも見えるのですか、時々ですか。

  Aさん  夜中にトイレに起きた時とか、寝る前や明け方にも出ることがあります。昼間は明るいのであまり気付かないのかもしれません。

  若倉  では、目をつぶっていても感じることがあるのですね。現象は長く続きますか。

  Aさん  目をつぶっても、まだ見えていることがあります。気になるのは数秒間です。長くても30秒は続きません。

  若倉  わかりました、それは飛蚊症ではなくて、「光視症」というべき症状だと思われます。

 解説します。飛蚊症は、眼球の水晶体と網膜の間を埋めている (しょう)()(たい) の部分に小さな濁りが生じて、それが光の加減でカメラのフイルムにあたる網膜に投影される現象です。だから、左右眼どちらの目で見えるか、自覚することができます。濁りの形は点状、糸状、半円状、雲状などいろいろですが、蚊が飛んできたのかと見間違えることがあることから「飛蚊症」の名称があります。多くが強度近視や加齢によってできた生理的な現象ですが、時に網膜 裂孔(れっこう) などのサインになることがあります。新たな飛蚊症を自覚したら、眼底検査などで確認する必要があります。

 これに対し、光視症は眼球内の硝子体の収縮などに伴う一過性の放電が原因で生じる「眼性光視症」と、視覚情報を処理する脳で発生する視覚ノイズ「中枢性光視症」に分けられます。前者のうち、主に一過性に視野の側方に稲妻が走る現象は「ムーアの稲妻線条」という名称が20世紀の前半に命名されおり、病気としては取り上げません。

 一方、Aさんの症状は、高齢者や、若い時に片頭痛のあった人などによく見られる「中枢性光視症」でしょう。これも何かの病気の前兆などではなく、治療も不要です。理屈がわかれば、過剰な心配はしないですみます。

 (若倉雅登 井上眼科病院名誉院長)

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若倉雅登(わかくら まさと)

井上眼科病院(東京・御茶ノ水)名誉院長
1949年、東京生まれ。80年、北里大学大学院博士課程修了。北里大学助教授を経て、2002年、井上眼科病院院長。12年4月から同病院名誉院長。NPO法人目と心の健康相談室副理事長。神経眼科、心療眼科を専門として予約診療をしているほか、講演、著作、相談室や患者会などでのボランティア活動でも活躍中。主な著書に「目の異常、そのとき」(人間と歴史社)、「健康は眼にきけ」「絶望からはじまる患者力」「医者で苦労する人、しない人」(以上、春秋社)、「心療眼科医が教える その目の不調は脳が原因」(集英社新書)など多数。明治期の女性医師を描いた「茅花つばな流しの診療所」「蓮花谷話譚れんげだにわたん」(以上、青志社)などの小説もある。

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