山崎まゆみの「心もとろける癒やしの温泉」
医療・健康・介護のコラム
箱根温泉郷は国籍問わず、多くの人を満足させてくれます
2019年の台風19号で甚大な被害にあわれた皆さんへのお見舞いも兼ねて、暮れの箱根に行ってきました。
想像以上に人でにぎわう箱根湯本駅。年末らしく、周辺には箱根駅伝の大きな垂れ幕がかかり、この地域が以前の勢いを取り戻しつつあるように見えました。台風の後も、外国人観光客の姿は絶えなかったそうですが、暮れの箱根も同じでした。自然災害によりダメージを受ける観光地にとって、恵みのお客さまです。
ただ、観光客の大切な「足」である箱根登山鉄道は不通のままです。
今回は、そんな箱根を応援するために、多様なニーズを満たす、この地の宿をご紹介します。
仲居さんが駅伝選手と一緒に…

箱根でお気に入りの旅館「塔ノ沢一の湯本館」
箱根湯本温泉の開湯は1300年近く前と伝えられます。江戸時代には箱根七湯として人気の湯治場として栄え、大正時代の末には十二湯に。近代化の波の中でさらに温泉開発が加速し、現在は「箱根二十湯」になりました。
箱根の大動脈と言えるのが、毎年、駅伝の選手が駆け抜けていく国道1号線です。観光地としての箱根の歴史は、湯本温泉~塔ノ沢温泉の周辺から始まっているといっても過言ではなく、多くの政治家らが 逗留 した「環翠楼」、文人墨客に愛された「福住楼」、商人が集まった「一の湯本館」ら、国道沿いに国の登録有形文化財の宿が目白押しです。
私は、とりわけ一の湯本館が好き。
「駅伝がスタートすると、往路は1月2日の午後12時半くらい、3日の復路は午前8時半過ぎに、うちの前を選手が走ります。毎年、宿泊されるお客さまと一緒に沿道で応援しています」と語るのは、一の湯の小川晴也相談役。
昭和30年代には、箱根駅伝の選手も一の湯に宿泊していました。「当時は、仲居が選手の面倒をみていました。ある仲居は応援している選手に伴走しているうちに、大手町まで走っていっちゃいましたよ。選手に情が移ってしまったんでしょうね」と、小川さんは当時を回想してくださいました。
一の湯の大浴場からは、水辺の散策が楽しい早川を望めます。大理石の湯船は、アルカリ性単純温泉特有の透明感をより美しく見せますし、いくら入っても疲れない湯は、さぞかし選手も気に入ったことでしょう。

塔ノ沢一の湯本館の全室露天風呂付き「品の木別邸」に泊まったときの私です
箱根の宿泊価格は、他の温泉地に比べると若干高めの設定です。そんな箱根で価格破壊をしたのが一の湯本館など八つの宿を運営する一の湯グループでした。直前の予約や平日なら1泊2食付きで1万円前後で宿泊可能。お布団の上げ下げは、お客さんが自分でするなど、セルフサービスを取り入れて、価格を抑えています。気ままなひとり旅にも適した宿です。
国際交流の場になるゲストハウスも
箱根らしく、外国人と触れあいを楽しめる宿もあります。仙石原にある「富士箱根ゲストハウス」です。今では、全国で民泊が定着してきましたが、ここはその先がけと言え、もう37年もこのスタイルが続いています。オーナーの高橋正美さんの自宅にお邪魔するかのような雰囲気は、まさしくゲストハウス。オーナー家族を通じて、外国人も日本人も関係なく、お客さん同士が夜な夜な大きなリビングで語らう、国際交流の場です。食事なしで1泊5000円という廉価もうれしい。大涌谷から引く、硫黄の香りが充満する温泉には、温熱効果以上に血行促進効果があります。

箱根温泉 塔ノ沢一の湯本館
【 所在地 】〒250―0315 神奈川県足柄下郡箱根町塔ノ沢90
【 電 話 】0460-85-5331(一の湯グループ総合予約センター)
【 泉 質 】アルカリ性単純温泉
【 効 能 】神経痛、筋肉痛、関節痛、五十肩、運動まひ、冷え症、美肌効果など
【アクセス】小田急線「箱根湯本」駅からバスで5分、「上塔ノ沢」下車
【ホームページ】https://www.ichinoyu.co.jp/honkan/
【関連記事】
※コメントは承認制で、リアルタイムでは掲載されません。
※個人情報は書き込まないでください。