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医療・健康・介護のコラム

「妊娠するのが怖い!」 流産手術で体と心に傷……不育症の知られざるつらさ

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「自分は欠陥品だ」と適応障害を発症、休職

「妊娠するのが怖い!」 流産手術で体と心に傷……不育症の知られざるつらさ

 一般的に、妊娠はするものの、2回以上の流産や死産を繰り返してしまい、出産まで至らないケースを「不育症」といいます。不妊症や不妊治療も、まだその正しい情報が周知されていないことが多い中、不育症となるとさらに認知度が低く、周囲の理解を得られないため、当事者は孤立してしまいがちです。

 実際Aさんの場合、流産後に「流産したのは、あなたが無理をし過ぎたんじゃないの」等の周囲からの声もあり、「流産を繰り返す自分は欠陥品だ」と思うようになってしまいました。さらに職場の同僚が2人妊娠したことをきっかけに、職場で妊婦さんを見続けるのがつらくなり、「適応障害」を発症して休職、在宅で時短勤務となり、収入も激減してしまったそうです。

 不育症の原因とされるものは様々で、不育症研究のサイト「 Fuiku-Labo(フイク ラボ) 」によると、検査をしても明らかな異常が判らない方が65.3%存在するとされています。

 検査も1か所ですべてできるというわけではないため、Aさんは検査で2か所の病院へ行き、その都度10万円ほどの検査費用がかかったそうです。また今後はセカンドオピニオンを求めて転院し、さらに2か所で検査・通院予定とのこと。当然ながらその都度費用は必要です。そうした経済的負担がかさんでいくことも問題と言えるでしょう。

出産した人をうらやむのは当然の感情

 Aさんは、「不育症の知名度が低いため、職場でも国にも理解が得られないことが、とにかくつらいです」と言います。周囲の妊娠・出産を祝福できず、妬ましく思ってしまい、「それは性格が悪い」と、友人や夫からも理解してもらえず、孤独を感じて死にたいと思ってしまったことまであるそうです。自分の性格や身体に自信が持てなくなり、それがうつ病の発症につながってしまい、今も治療を続けています。

 Aさんに限らず、また不育症に限らず、妊活をしているすべての人が、妊娠・出産した人をうらやましいと思うことがあるとしたら、それはごく当たり前のことで、私だって何度もあります。でもそれは人として当然の感情で、良くも悪くもない、ただの感情です。自分が欲しいと切望し、なかなか手に入れられないものを苦労なく持っている人がいたら、「いいなぁ」と思うのは普通じゃないでしょうか。だから、子どもを望むすべての方とその周囲の方に、それは当然の感情ですよ、と伝えたいです。そんなに自分を責めなくてもいい。そんな自分を認めてあげてもらいたいなと。

 私やFineは、不妊も不育も1人目も2人目も、すべて大きなくくりでは同じ「子どもを望み、授からなかったことがつらいと感じている」仲間だと思っています。どうぞ、一人で悩みを抱えることなく、ぜひ話せる人を見つけてください。自治体の不妊・不育相談センターなども増えていますし、Fineのようにピア・カウンセリングを行っているところもあります。「当事者が孤立することなく、健全な精神を持ち続けられる環境を整える」ことはFineの理念でもあります。どうぞ、遠慮なく頼ってください。(松本亜樹子 NPO法人Fine=ファイン=理事長) 

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松本亜樹子(まつもと あきこ)

NPO法人Fine理事長/国際コーチ連盟認定プロフェッショナルサーティファイドコーチ

 長崎市生まれ。不妊経験をきっかけとしてNPO法人Fine(~現在・過去・未来の不妊体験者を支援する会~)を立ち上げ、不妊の環境向上等の自助活動を行なっている。自身は法人の事業に従事しながら、人材育成トレーナー(米国Gallup社認定ストレングス・コーチ、アンガーマネジメントコンサルタント等)、研修講師として活動している。著書に『不妊治療のやめどき』(WAVE出版)など。
Official site:http://coacham.biz/

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