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いつか赤ちゃんに会いたいあなたへ

医療・健康・介護のコラム

「妊娠するのが怖い!」 流産手術で体と心に傷……不育症の知られざるつらさ

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 いよいよオリンピックイヤーの2020年となりました。皆様、どのような年始をお過ごしでしたでしょうか。今年もこのコラムでは、「赤ちゃんに会いたい」をテーマに、様々な話題をお届けしていきます。引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。

不育症の検査費用 東京都などが助成

「妊娠するのが怖い!」 流産手術で体と心に傷……不育症の知られざるつらさ

 このところの朗報として、以前このコラムでも取り上げた「不育症」について、東京都が検査費用の助成金を出すことが決定し、昨秋ニュースになりました。東京都以外にも、各市区町村単位で不育症の検査等に助成金を出してくれるところは増えており、非常にありがたく喜ばしいことだと思います。不妊治療に対する助成は、厚生労働省の「不妊に悩む方への特定治療支援事業」が開始されてから、徐々に広がりを見せてきていますが、不育症に対する支援は、まだまだだと感じます。

 実際、不妊治療と仕事の両立に対して、何らかの制度を設ける、あるいは現状の制度が不妊治療にも使えるようにするなど、従業員に対するサポートをしている企業は、まだ1割にも満たないとはいえ、増えてきています。しかし、不育症に対するサポートを実施しているところは少なく、この年末に私たちFineメンバーが調べてみても、残念ながら1社も見つけることはできませんでした。(もし、やっていらっしゃる企業があれば、ぜひ情報をお寄せください!)

 少子化が本当に深刻化している今、不妊症だけでなく、不育症に対する啓発も重要課題と言えるでしょう。

「私なはぜ赤ちゃんを守れなかったのか」と自分を責める

 「あんなに望んでいた妊娠だったのに、もう妊娠すること自体が怖くなってしまって……」と、涙ながらに語ってくれたAさんは30歳。長年、不育症に悩んでいる一人です。

 26歳で結婚。夫婦ともに子どもが好きで、幸い27歳になってすぐに妊娠することができました。しかし、心拍が確認できた10週の時に、たいへん残念なことに流産となってしまったそうです。

 流産は、女性の体と心に大きな傷をつけます。流産手術を受けることで身体への負担もありますが、何より、それを受けるのが多くは産婦人科で、待合室にはおなかの大きな妊婦さんがたくさんいます。「なぜ、私は大切な赤ちゃんを守れなかったんだろう」と自分自身を責めてしまい、つらい気持ちになります。さらに手術の際に、隣の分娩室で出産が行われていることもあります。赤ちゃんの元気な産声を聞きながら、流産の手術を受けるつらさは筆舌に尽くしがたく、涙が止まらないといいます。それほど流産は女性に大きなダメージを与えてしまうものです。

 Aさんが流産を乗り越え、妊娠することができたのは、それから約1年後の28歳の時。しかし、またも、今度は (たい)(のう) (赤ちゃんを包む袋)が確認できたあと、流産となってしまいました。その後、Aさんは「不育症」と診断されて、不育症治療を開始しました。しかし、そのかいもなく、その翌年にまたも10週の心拍確認ができた後で流産となってしまったそうです。

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松本亜樹子(まつもと あきこ)

NPO法人Fine理事長/国際コーチ連盟認定プロフェッショナルサーティファイドコーチ

 長崎市生まれ。不妊経験をきっかけとしてNPO法人Fine(~現在・過去・未来の不妊体験者を支援する会~)を立ち上げ、不妊の環境向上等の自助活動を行なっている。自身は法人の事業に従事しながら、人材育成トレーナー(米国Gallup社認定ストレングス・コーチ、アンガーマネジメントコンサルタント等)、研修講師として活動している。著書に『不妊治療のやめどき』(WAVE出版)など。
Official site:http://coacham.biz/

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