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ペットと暮らせる特養から 若山三千彦 

医療・健康・介護のコラム

[余命3か月の入居](2)一人暮らしで末期がん 愛犬と暮らせる場所を探して

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頭を抱えた娘さん 入居を申し込まれた側も……

 伊藤さんの希望を聞いて、娘さんは最初、頭を抱えたそうです。病院やホスピスを望まないなら、あとは老人ホームしかない。しかし末期がんの高齢者を受け入れてくれる老人ホームなどあるのだろうか? ましてやペットと一緒に入居できる老人ホームなどあるわけがない。普通は誰でもそう考えるでしょう。

 頭を抱えながらも娘さんは、ペットと一緒に入居できる老人ホームを探し、さくらの里山科にたどり着きました。入居申し込みがあったのは、9月半ばのことでした。

 伊藤さんの入居申し込みを受けて、正直なところ、私も頭を抱えたくなりました。末期がんの高齢者を新たに受け入れることは前例のないことでした。

 末期がん等の状態で余命が限られている方の介護をターミナル・ケア(終末期介護)と言いますが、うちのホームでは、より一般的な言い方である ()() り介護と言う言葉を使います。看取り介護は、ホームにとって大きなリスクがあることです。そのため、入居者本人や家族としっかりした信頼関係ができていないと、うかつに私たちも看取り介護はできないのです。ですから、すでに看取り介護状態にある高齢者の入居を受け入れることは通常は行っていませんでした。

 次回、そのリスクとはどのようなものか。そしてなぜ伊藤さんの入居を受け入れたのか。その理由をお話しさせていただきます。(若山三千彦 特別養護老人ホーム「さくらの里山科」施設長)

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若山 三千彦(わかやま・みちひこ)

 社会福祉法人「心の会」理事長、特別養護老人ホーム「さくらの里 山科」(神奈川県横須賀市)施設長

 1965年、神奈川県生まれ。横浜国立大教育学部卒。筑波大学大学院修了。世界で初めてクローンマウスを実現した実弟・若山照彦を描いたノンフィクション「リアル・クローン」(2000年、小学館)で第6回小学館ノンフィクション大賞・優秀賞を受賞。学校教員を退職後、社会福祉法人「心の会」創立。2012年に設立した「さくらの里 山科」は日本で唯一、ペットの犬や猫と暮らせる特別養護老人ホームとして全国から注目されている。19年7月、ホームでの人とペットの感動のドラマを描いた「看取みといぬ文福ぶんぷくの奇跡 心が温かくなる15の掌編」(東邦出版、1389円税別)を出版、大きな反響を呼んだ。

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