Dr.三島の「眠ってトクする最新科学」
医療・健康・介護のコラム
受験生必読! 勉強後、睡眠を挟んだほうが好成績…寝る間を惜しむと記憶は不安定に
こんにちは。精神科医で睡眠専門医の三島和夫です。睡眠と健康に関する皆さんからのご質問に科学的見地からビシバシお答えします。
楽しかった正月も終わり、いよいよ受験シーズンです。受験生の皆さんは寝食の時間を惜しんで頑張っていると思いますが、勉強した内容をしっかりと記憶するには、睡眠がとても大切な役割を果たしていることが科学的に明らかにされています。今回は睡眠と記憶に関する話題です。
テスト前に眠るか眠らないか
記憶には、その内容を言葉で説明できる「陳述記憶」と、言葉で説明できない「非陳述記憶」の大きく2種類があります。例えば、以下のような記憶が代表的です。
新しい単語を記憶する(陳述記憶)
ピアノの指使いを覚える(非陳述記憶)
非陳述記憶の他の例としては、「自転車に乗る」などの技能の習得などがあります。陳述記憶、非陳述記憶のいずれも、練習後に睡眠をとることで、記憶がしっかりと固定(保持)されやすくなることが数多くの研究で明らかになっています。
例えば、実験の参加者をグループ分けし、一つのグループには、午前中の1時間で新しい単語や、無関係な二つの単語の組み合わせなどを記憶し、その10時間後に単語を思い出すテストを受けてもらいます。別のグループには、夕方過ぎに記憶し、その後に十分な睡眠を取った上で、やはり10時間後、翌日の午前中にテストを受けてもらいます。どちらのグループの成績が良いと思いますか?
眠った方が思い出しやすく
記憶した後、ずっと目覚めていた方が忘れないような気がするかもしれませんが、正解は後者です。記憶した後に睡眠をしっかりと取った方が、より強く記憶が固定され、その後に思い出しやすいのです。
ある物事を記憶する時には、脳内の 海馬 と呼ばれる部位や大脳皮質の神経細胞間のつながりが強化されます。その記憶にひもづけられた特定の神経細胞ネットワークが興奮しやすくなり、そのことによって、記憶として保存され、思い出す(想起する)ことができるようになります。睡眠で記憶が強化されるメカニズムを、もう少し詳しく説明しましょう。
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そして、今は平和っぽい時代ですが、戦前の軍隊の月月火水木金金を言葉その通りに毎日非常事態を全員に強いる文化が残ったのでしょう。
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睡眠時間に関しては様々な人がいます。
一方で、たいていの人は6時間、子供の時や疲労時や疾患時はもう少し必要なのが普通です。
また、短時間の仮眠とか、一夜漬けスタイルなりの工夫をすることで、仕事をこなしたり、知識を積み上げることができます。
今後はますます、大学入学時の学力以上に、入学後の知識や経験の方が重要になります。
学費やプライドも絡みますが、無理をし過ぎず、無理ができなかった自分を覚えている方が前向きにやれると思います。
毎日そんなに集中も出来ない方が普通です。
ほどほどに仕組みを作って修正をかける習慣が大事です。
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