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家族写真 がん治療の支え…福岡の団体「母親に笑顔を」撮影会企画

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 がんと闘いながら子育てする母親に笑顔になってもらおうと、福岡市の支援団体が家族写真を撮影する取り組みを始めた。子育て中にがんになった母親に特化した支援活動は珍しい。

 今後は、その写真や家族の歩みを広く紹介し、苦しむ患者らに「支える家族がいる。いつか笑える日がくる」というメッセージを伝えていく計画だ。

家族写真 がん治療の支え…福岡の団体「母親に笑顔を」撮影会企画

金城舞さん

 この団体は、NPO法人「がんのママをささえ隊ネットワーク ETERNAL BRIDGE」。3児の母親でもある九州大病院乳腺外科の医師、金城舞さん(40)が、闘病と子育ての間で苦しむ乳がん患者らと向き合う中で「日常に寄り添った支援ができないか」と考えた。共感した金城さんの母、山田佳代子さん(67)を代表に3年前から活動を始めた。

 メンバーは看護師、子育て団体の関係者らで、福岡県内外の乳がん、子宮がん、胃がんなどの患者約100人と交流を持っている。相談に応じたり、重症者の生活を支援したりし、2018年度には、公益財団法人「正力厚生会」の助成金交付団体の一つに選ばれた。

 撮影会は昨年9月に初めて企画し、8家族が参加した。笑顔の子どもが両親に寄り添うなどして写真に納まり、「改めて家族の大切さを感じた」と好評だった。

 「祝8」と書かれたケーキを掲げた男の子と、両脇でほほ笑む父親と母親――。

 そんな1枚の写真を大切にしているのは、撮影会に参加した福岡市南区の看護師、河野梨香さん(41)。8年前に生後10か月だった長男の 由樹よしき 君(8)の授乳中に胸のしこりに気付いた。乳がんでリンパ節にも転移し、手術して抗がん剤、放射線治療を受けた。副作用で体がきつく、長男に当たったこともある。保育園の入園式では「卒園式はもう見られないかも」と泣いた。

 今は治療を終え、経過観察となっている。撮影会では、長男の8歳の誕生日と発症から8年生きられたことを祝って、ケーキに「祝8」と書いた。「これまで家族写真を撮る機会もなかった。家族で笑い合える日が来たことは本当にうれしかった」と振り返る。

 同ネットワークは第2弾として今年秋、全国から30家族ほどを募って撮影会を開催する予定だ。写真は福岡市内の公共施設に展示し困難を共に乗り越える家族の歩みを合わせて紹介する計画。金城さんは「1人で苦しんでいる方にも元気を出してもらえたら」と語る。

 計画実行のため、クラウドファンディングで70万円を目標に今月27日まで資金を募っている。協力の申し出や問い合わせは、同ネットワークのメール(info@sasaetai.or.jp)へ。

患者の体験冊子発行

 厚生労働省によると、2016年にがんと診断された20~40歳代の人は約7万5000人に上る。金城さんらのもとには全国の母親から「治療中に子どもを預ける場所はどうしたら見つかるか」「子どもに病気のことをどう伝えればよいのか」といった相談が寄せられているという。

 そうした中、同ネットワークは、患者5人の体験を集めた冊子「がん治療 子育て わたし+人生」を発行した。

 34歳で乳がんになった母親は娘に「ママも怖い、けどがんばるね!!」と常に前向きな言葉で伝えていることをつづった。副作用で髪が抜けたことを周囲に隠さず伝え、家族やママ友の助けも得ているという。

 600冊発行し、うち200冊を福岡県内の病院などに配った。希望者には500円(税込み、送料別)で分けている。子育て中のがん患者やその家族は無料。

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