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心療眼科医・若倉雅登のひとりごと

医療・健康・介護のコラム

「心療眼科医・若倉雅登のひとりごと」最終回に寄せて…最も多かったキーワードは?

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「心療眼科医・若倉雅登のひとりごと」最終回に寄せて…最も多かったキーワードは?

 「心療眼科医・若倉雅登のひとりごと」では、4年10か月間にわたってコラムを掲載させていただき、今回217回目で最終回の運びとなりました。

 この間に、自分はどんな問題意識で「ひとりごと」をつぶやいてきたのかを、改めて振り返ってみたくなりました。そこで、各回のコラムから2、3語のキーワードを抜き出し、集計した結果を示しながら、最終回の原稿を書きます。

 全体で最も多かったのは「視覚障害」「視覚障害者」という用語で16回、2位は「薬物副作用」で15回、3位は「 眼瞼(がんけん) けいれん」という病名で12回でした。

 以下、 羞明(しゅうめい) (まぶしさ)、福祉制度、ベンゾジアゼピン、患者医師関係と続きます。

 「視覚障害(者)」「福祉制度」「患者医師関係」の3項は医療・福祉制度に対する私の最近の問題意識として、まとめられるでしょう。

 視覚系の障害は、ほかの心身の障害とは大きく異なるいくつかの生活上の不都合が生じるが、それが必ずしも日本の医療・福祉制度の中に重い位置づけとして反映されていないのではないかという疑問が、「ひとりごと」になったのだと思います。

 視覚障害の最大の特徴は、生命に直接関係しないことと、身体は通常、健康なことです。視覚障害を持っていても、その人は社会の中で健常人とともに生き続けなければならないのです。

 ところが、完全失明に近い状態でないと、ほかの人からはわかりにくいですし、健常人からはつい軽くみられがちです。一見、健常に見えてしまうそうした人々が、実は生きるのにどれほど難儀をしているか、このことに福祉制度も、医療制度ももっと思いをいたしてほしいという願望があるのです。

 重複障害をもったヘレンケラーを見習え、『群書類従』を編んだ盲目の学者・ (はなわ)()()(いち) は偉かったなど、成功物語がもてはやされますが、それらは、特別な例外中の例外であり、その裏には簡単には成功しえない多数例が隠れていて、そちらこそを対象として考えるべきだと、私はつぶやきたかったのです。

 「薬物副作用」「ベンゾジアゼピン」が上位なのは、医師患者間のコミュニケーションを重視せず、薬漬け医療が 蔓延(まんえん) している医療現場の実態を読者に訴えたくて、繰り返し書いた結果です。

 私は「ベンゾジアゼピン眼症」という名称を提唱していますが、眼症が進んでくると、高度のまぶしさ(羞明)や眼痛で目を開け続けることができなくなる薬物性の「眼瞼けいれん」に移行してくることを、自身の外来で多数経験しています。

 現在、私の外来の50%近くが、「眼瞼けいれん」の患者で占められていることもあって、何度もコラムのテーマになったわけです。

 長い間、私の「ひとりごと」にお付き合いいただき、どうもありがとうございました。

 (若倉雅登 井上眼科病院名誉院長)

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201505_第4回「読売医療サロン」_若倉

若倉雅登(わかくら まさと)

井上眼科病院(東京・御茶ノ水)名誉院長
1949年東京生まれ。北里大学医学研究科博士課程修了。グラスゴー大学シニア研究員、北里大学助教授、井上眼科病院副院長を経て、2002年から同病院院長。12年4月から現職。日本神経眼科学会理事長、東京大学医学部非常勤講師、北里大学医学部客員教授などを歴任。15年4月にNPO法人「目と心の健康相談室」を立ち上げ副理事長に就任。「医者で苦労する人、しない人 心療眼科医が本音で伝える患者学」、「絶望からはじまる患者力」(以上春秋社)、「心療眼科医が教える その目の不調は脳が原因」(集英社)、医療小説「茅花流しの診療所」、「蓮花谷話譚」(以上青志社)など著書多数。専門は、神経眼科、心療眼科。予約数を制限して1人あたりの診療時間を確保する特別外来を週前半に担当し、週後半は講演・著作活動のほか、NPO法人、患者会などでのボランティア活動に取り組む。

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