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中川恵一「がんの話をしよう」

コラム

欧米では峠を越えたがん死 日本で増え続けるのはなぜ?

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 はじめまして、中川恵一です。東大病院で放射線治療を担当しています。35年間、がん一筋の臨床医です。

 がんはわずかな知識があるかないかで、運命が分かれる病気です。「がんになる前にがんを知る」ことが大切です。皆さんもこの連載で、「がんを知る」ことに努めていただきたいと思います。

1981年以降、死因トップの「国民病」

 私も 膀胱(ぼうこう) がんを経験していますが、がんはわが国の「国民病」です。年間、102万人近い人が新たにがんと診断され、約38万人がこの病気で命を落としています。

 戦前・戦中までは結核が、戦後の高度成長期は脳卒中が死因のトップでした。しかし、栄養状態の改善などにより、減少に転じています。しかし、1981年にがんが死因のトップになって以降、現在に至るまで、がんによる死亡数は一貫して増え続けており、減少に転じる兆しも見られません(年齢調整死亡率は低下しています)。

 ところが、欧米では、かつて日本における脳卒中や結核がそうであったように、がんによる死亡数はすでに峠を越えています。先進国のなかで、がん死亡が増え続けているのは日本くらいなのです。人口10万人あたりのがん死亡数では、日本は米国のナント2倍近くにもなっています。

男性の3人に2人、女性の2人に1人が

 がんは日本人の死亡原因の約3割を占め、 罹患(りかん) する確率は50%を超えています。アバウトに言えば、日本人の2人に1人以上が、がんになると言えます。正確には、日本人男性のがん罹患リスクは生涯で62%、女性でも47%に上ります。しかし、この数字は2014年のものです。がんの罹患情報を集約する「がん登録」制度は整備が遅れており、16年の1月からやっと始まったばかり。最新データが5年以上前のものとは、正直、情けない状態です。

 この生涯がん罹患リスクは、長期的には上昇傾向にあり、19年には、男性が65%、女性でも50%程度まで上昇するはずです。つまり、現在、日本人男性の3人に2人、女性でも2人に1人が、がんになる計算です。

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中川 恵一(なかがわ・けいいち)

 東京大学医学部附属病院放射線科准教授、放射線治療部門長。
 1985年、東京大学医学部医学科卒業後、同学部放射線医学教室入局。スイスPaul Sherrer Instituteへ客員研究員として留学後、社会保険中央総合病院(当時)放射線科、東京大学医学部放射線医学教室助手、専任講師を経て、現職。2003~14年、同医学部附属病院緩和ケア診療部長を兼任。患者・一般向けの啓発活動も行い、福島第一原発の事故後は、飯舘村など福島支援も行っている。

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1件 のコメント

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高齢者の慢性疾患の一つとしての癌

寺田次郎 六甲学院放射線科不名誉享受

感染症が衛生環境と抗生剤の進化で死ににくくなり、心筋梗塞や脳卒中も限定的ながら診断治療が大きく進化し、結果的に癌の死亡率が上がりました。 一方で...

感染症が衛生環境と抗生剤の進化で死ににくくなり、心筋梗塞や脳卒中も限定的ながら診断治療が大きく進化し、結果的に癌の死亡率が上がりました。
一方で、いずれの疾患群の診断治療もまだまだ改善の余地はありますし、少なくないケースで高齢者であり、延命中止=看取りも絡むことから、システムも啓発活動も重要になります。
地域医療や救急の疲弊も問題になっていますが、どうやって、共通のプラットフォームを大きくして効率的かつセミカスタムに運用していくのか、癌について知り予防と早期発見に努めるだけでなくその他の疾患も含めて各科専門医と協力してネットワークを組み上げていくのが重要なのではないかと思います。

ちょうど、隣に高齢者の為の病院の再編の記事がありますね。
同じ発想をどういう風にやれば、より多くの人や器材を効率的に動かせるかという話ではないかと思います。
倒れた時、あるいは、病院に行って検査した時に病気は発見され病名がつきますが、それまでに病変がなかったわけではありません。
そして、同時に検査できる疾患は多々あります。

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