文字サイズ:
  • 標準
  • 拡大

ニュース

ニュース・解説

視覚障害伴走 お助けアプリ…山口市の企業 開発中

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック

 視覚障害者ランナーを支える伴走者の負担軽減に向け、ソフトウェア開発を手がける山口市の会社が、スマートフォンでコース上の危険箇所などを伴走者に伝えるアプリの開発に取り組んでいる。

 日本版GPS(全地球測位システム)の測位衛星「みちびき」から発信される位置情報を活用する計画。伴走者は恒常的に不足しており、育成の一助になればと期待されている。

危険箇所を音声通知 誤差1メートル程度

視覚障害伴走 お助けアプリ…山口市の企業 開発中

開発中のアプリの画面。登録したコースの危険箇所が赤く示され、近付くと音声で知らせる(ニュージャパンナレッジ提供)

 取り組んでいるのは、ソフト開発やドローン事業などを行っている「ニュージャパンナレッジ」。みちびきのシステムを利用し、スマートフォンで事前に登録したコースで段差や交差点などの危険箇所に近づくと「段差があります」「200メートル上り坂が続きます」などと音声で伝える。何メートル手前で知らせてもらうかも個別に設定できる。

 開発に協力する山口県産業技術センターなどによると、みちびきは日本のほぼ真上から電波を発するため、位置情報の誤差は最大でも1メートル程度。2018年11月から4基体制で運用を始めた内閣府が、みちびきからの位置情報を活用した様々な実証実験などを公募し、同社の計画も採用された。

 視覚障害者のマラソンなどには、コース上の段差やカーブなどをランナーに伝える伴走者が必要となる。日本ブラインドマラソン協会県支部によると、フルマラソンでは少なくとも2、3人、十分な練習のためには10人が必要だとされる。

 しかし、大学などと連携して講習会などを開いて育成に力を入れる同協会などによると、伴走者は全国的に不足。約20年間の伴走経験がある県支部会長の坪井康郎さん(64)は「ランナーと会話をしながら、危険箇所にも注意する必要がある。アプリの活用で両方がスムーズにできる」と期待する。

id=20200107-027-OYTEI50009,rev=6,headline=false,link=true,float=left,lineFeed=true

視覚障害者ランナーの伴走をする坪井さん(左)。段差や坂などに気を配って走っている(山口県萩市で)=本岡辰章撮影

 同社は、昨年末までにシステムをほぼ完成させ、2月から本格的に山口市内のクロスカントリーコース(約3キロ)で同県支部のランナーと伴走者に協力してもらい、実証実験を行う予定だ。iPhone(アイフォーン)向けのアプリとして、今夏の販売を目指す。

 開発を担当する同社営業部長の笠原宏文さん(57)は「アプリで伴走者の負担が減り、新たな人材確保にもつながるのではないか。視覚障害者の方に、もっと気軽にランニングやウォーキングを楽しんでもらえるようになれば」と話している。

出場可能な大会増 伴走者「不十分」

 日本ブラインドマラソン協会(東京)などによると、同協会が発足した1980年代に比べて、防府読売マラソン、福岡マラソンなど視覚障害のあるランナーが出場できる国内の大会は増加しているという。

 パラリンピック出場などを目指す強化指定選手もこの30年間で3倍の約30人に増えている。

 一方で、視覚障害者ランナーの参加者数が毎年100~150人と国内最多となる「かすみがうらマラソン兼国際ブラインドマラソン2020」(茨城県)の大会事務局が、参加者に伴走者を紹介する「伴走ボランティアバンク」の登録者数は約100人と横ばい。「全国的に伴走者の数は十分とは言えない状態が続いている」という。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック

ニュースの一覧を見る

最新記事