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渡辺専門委員の「しあわせの歯科医療」

医療・健康・介護のコラム

矯正、インプラント、歯周病、入れ歯……新しくできる専門医制度は歯科医選びの決定版になるか?

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歯科矯正、専門に学んだのは約7000人だが、2万1000人が実施

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 歯科矯正とインプラントという、自費診療の2分野でも、日本歯科専門医機構が認証する新しい専門医を設けることが決まっています。

 歯科矯正はインプラント治療と並び、高額な自費診療なので、もうかる治療とあってか、インターネットでは広告があふれています。大学で専門的に矯正を勉強した歯科医は、7000人に達しませんが、矯正を行う歯科医は2万1000人もいます。

 歯科矯正にはいくつもの学会や研究会があります。代表するのが90年以上の歴史がある日本矯正歯科学会で、ここから分かれる形で生まれた日本成人矯正歯科学会と日本矯正歯科協会が主要3学会とされてきました。かつて日本矯正歯科学会の認定制度が書類審査だけだったこともあり、それに反発して日本矯正歯科協会は厳格な技術評価システムを作ってきたといった経緯があります。

マウスピースを使った治療が広がって、矯正歯科業界に激震

 専門的に歯科矯正を学んだ歯科医が別基準を設けて認定制度を設ける一方で、専門外の歯科医が続々と矯正の看板を掲げるようになってきたわけです。さらに、近年は、取り外しができる樹脂製のマウスピースを使ったお手軽な矯正が業者主導で海外から入ってきて、日本でも広がりを見せています。患者にしてみれば、こうした動きが矯正歯科医選びの難しさに拍車をかけています。

 通常の矯正治療は、マルチブラケットという器具を歯に接着して、その力で歯を動かしていきます。見た目も悪いし、食事がしにくく、歯磨きにも神経を使う不自由を余儀なくされます。これに対して、マウスピースを使った「アライナー治療」は、歯型を取って、コンピューターシミュレーションをして変化を予想し、マウスピースを次々と取り換えて、歯を動かしていく治療です。専門知識が不要どころか、アメリカでは歯型を取るキットを受け取って、自分で歯型を取ってマウスピースを送ってもらう、歯科医不要の矯正ビジネスも始まっているそうです。

すべてがマウスピースの矯正で治せるわけではない

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日本矯正歯科学会・森山啓司理事長

 日本矯正歯科学会理事長の森山啓司さん(東京医科歯科大教授)は「ちょっとした隙間やズレといった、小さな矯正ならマウスピース治療でうまくいくケースもありますが、難しい患者さんもいるので、すべてマウスピースでというわけにはいきません。なんでもこれで治せるかのような宣伝は誤解を招いています」と指摘します。

 「うまく歯が動かなかったので、返金してほしい」といった苦情や相談が、学会にまで寄せられています。「歯科矯正の専門知識と経験を基に診断して、適切な治療法を提案できる専門医の責任は大きいと考えています」と専門性の意義を語っています。

 3団体が一つになって、専門医制度を新たに設けることが決まったのは、専門性不要の矯正が広がる中で、「矯正専門医の存在意義が問われている」という危機意識も働いたようです。3月には第1回の認定審査が行われます。タイプの違う5件の治療例を提示して、筆記試験や口頭試問を経て認定されます。

まず200人の矯正歯科専門医が誕生

 森山さんは「標準的な診断、治療がきちんとできる能力を審査して認定し、国民の歯科選びの参考になる制度にしていきます。私自身も新たな専門医認定を受けるために、受験します」と話しています。すでに受験申し込みを締め切り、まず、200人余りが認定される見込みです。順次、増やして、全国どこにいても専門医にアクセスできるよう2000人程度には増やす必要があるとしています。

 歯科矯正は、治療期間が長期に及び、その間に転勤などで通えなくなることもあります。その場合の返金ルールがきちんとしていることも、安心して受診するために大切な要素。治療技術だけではなく、こうした運営の信頼性も含めて専門医として評価する形になります。

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★【完成版】しあわせの歯科医療2 300-300

渡辺勝敏(わたなべ・かつとし)
読売新聞記者(メディア局専門委員)。1985年入社。 秋田支局、金沢支局、社会部を経て97年から医療を担当。2004年に病院ごとの治療件数を一覧にした「病院の実力」、2009年に医療健康サイト「ヨミドクター」を立ち上げた。歯科については歯茎や歯根があやしくなってきた10年来、患者としても関心を持たざるを得なくなっている。立命館大学客員教授。

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