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スポーツDr.大関のケガを減らして笑顔を増やす

医療・健康・介護のコラム

今年はランニングを開始する!

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 令和初めての年明けですね。「ニューイヤー駅伝」「箱根駅伝」と、長距離走をテレビなどで見たことで、今年こそはランニングを始めようと考えている人も多いのではないでしょうか。ただ、年齢とともにランニングだけで、体のどこかに痛みがでてくることも増えてきます。今回はよくある足の裏の痛みについてです。

 ランニング愛好家のケースです。

 52歳のWさんは、ここ数年で体重が重くなってきたことを自覚し、新年の始まりとともに、1週間に3回、30分ほどのジョギングを開始しました。しかし、3週間ほどたって、起床時の歩行で足の裏に痛みを感じるようになりました。起床後の活動につれて痛みは徐々には減り、夜のランニング時にはあまり痛みを感じません。ところが、起床時の痛みは日を追うごとにひどくなり、やがて日中の活動時にも痛みを感じるようになってきました。

足底腱膜とは

 足の底には足底 腱膜(けんまく) という足部のアーチに関わる腱性の膜があります。足部のアーチは、縦のアーチと横のアーチにより立体形の構造をしており、歩行や走行時の荷重をうまく緩衝するクッションの役割をしています。しかし、元からこのアーチが少ない人や、加齢や激しい運動などで段階的にアーチが下がってくると、様々な足のトラブルが発生します。アーチが少ない足のことを 扁平足(へんぺいそく) と呼びます。

 また、足底腱膜とアキレス腱は、 (かかと) を中心とした一連の構造と捉えることもできます。アキレス腱が硬くなっている場合、足底腱膜の伸張性も低下していることが多く、その骨の周辺部位に過剰な負担がかかりやすくなっています。ここに痛みが生じることを足底腱膜炎と呼び、中高年者に見られます。

今年はランニングを開始する!

 足底腱膜炎の典型例では、起床時の歩き出しの時の痛みが出現します。これは足を動かしていない就寝時に、腱膜が伸長されず、緊張がかかりやすい状態になっているためで、起床時にもっとも痛みが強く、その後、動かすようになると緊張が減るため、痛みが軽減されるようになります。しかし、ひどくなると歩行時はいつでも痛いという状態になることもあります。

やはりストレッチが大切

 足底腱膜が硬くなる主な原因は、 下腿三頭筋(かたいさんとうきん) が硬いことや、足の指をあまり動かしていないこと、歩行やランニングでうまく足の指を使えていないことなどです。日ごろから、下腿三頭筋のストレッチ、母指でタオルをつまむエクササイズ、足の指を良く動かすエクササイズを入念に行うことが大切です。また、主にふくらはぎのトレーニングで踵を浮かす「カーフ・レイズ」や、チューブを使って足首を反らすエクササイズなど、足の周囲の筋肉を鍛えるエクササイズも大切です。これらのエクササイズで、見た目の扁平足が変わるわけではありませんが、症状の改善は期待できます。また、靴やインソールを調整することで、日ごろの荷重のバランスを改善させることもひとつです。ただ、足の形態は個人差があるので、専門家のアドバイスが必要です。

今年はランニングを開始する!

 それでは、Wさんの経過です。

 1日2回、朝と夜にストレッチや足の指のエクササイズを徹底して行うようにしました。また、クッション性のよいランニングシューズを普段から履くようにしました。朝の痛みは段階的に消失し、ランニングも問題なく継続することができています。

今年はランニングを開始する!

体外衝撃波による治療も

 適切なリハビリを行っても改善しないなど、難治性の足底腱膜炎には、体外衝撃波による治療が保険適応です。元々、腎臓結石の破砕治療に用いられているものですが、整形外科分野への応用も広まっています。体外衝撃波により、痛みを感じる神経(自由神経終末)を変性させることなどで、除痛効果が得られると考えられています。まだ、導入している病院は多くありませんが、探してみるのも選択肢の一つです。いずれにしても、年齢とともに体の柔軟性は低下していきますので、ストレッチは日々の習慣にしたいですね。(大関信武 整形外科医)

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oozeki- nobutake_prof

大関信武(おおぜき のぶたけ)

 整形外科専門医・博士(医学)、日本スポーツ協会公認スポーツドクター
 一般社団法人日本スポーツ医学検定機構代表理事

 1976年大阪府生まれ、兵庫県立川西緑台高校卒業。2002年滋賀医科大学卒業、2014年横浜市立大学大学院修了。2015年より東京医科歯科大学に勤務。野球、空手、ラグビーなどを通じて、野球肘、肩関節脱臼、アキレス腱断裂、骨折多数など自身が多くのケガを経験。スポーツのケガを減らしたいとの思いで、一般社団法人日本スポーツ医学検定機構を設立し、「 スポーツ医学検定 」を開催している。 現在、拓殖大学ラグビー部チームドクター、文京ラグビースクールコーチ兼メディカル担当。2019年ラグビーワールドカップでは選手用医務室ドクターを担当。八王子スポーツ整形外科、蓮江病院でも診療。

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2件 のコメント

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靴や歩き方の影響も大きいと思います

Zoo

一般的な靴はにつま先が上がった状態や最初からアーチサポートがされているなど、足底筋膜に過度の緊張を促すものが多くなっています。 これは本来、足が...

一般的な靴はにつま先が上がった状態や最初からアーチサポートがされているなど、足底筋膜に過度の緊張を促すものが多くなっています。
これは本来、足が持っているアーチによる衝撃吸収・アーチのバネ効果による推進力・筋収縮による血行促進のそれぞれの効果を発揮できなくなるばかりか、それらの機能を靴に追加するために、さらに不安定な歩行と機能低下を招いていると思います。
また、当たり前のようになっている、踵から着地して歩くという事を靴によって強制されています。
この歩き方によって踵骨は転がる様に動き、足底面の固い部分だけでなく、強度の低い筋膜の付着部にまで荷重がかかってしまします。
特に日本人は下駄や草履などの鼻緒の付いた履物を使っていたので、第1・第5中足骨頭付近で着地して踵骨を上からほぼ真下に下す歩き方が合っていると思います。
この様な歩き方ならアーチのある2点で接地することで衝撃吸収と横ブレが防止され、踵骨はある程度勢いが弱まった状態で骨密度の高い部分で着地することができます。
走る時はもっと足にかかる衝撃が大きくなりますからその分影響も大きいでしょう。
古い考えのコーチやトレーナーは未だにヒールストライクの走り方を推奨している方もいて残念です。

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99.9%の選手はプロにはならない

寺田次郎 六甲学院放射線科不名誉享受

50歳でなくても、ブランクのある人間は無理のない運動再開へのプランと異変時の中止や様々な対応が重要になります。 もちろん、若い選手でも、特定関節...

50歳でなくても、ブランクのある人間は無理のない運動再開へのプランと異変時の中止や様々な対応が重要になります。
もちろん、若い選手でも、特定関節の痛みが強い時には無理をしてはいけません。
損傷が小さいほど回復が見込めます。

目先の結果で判断されるのは、プロやトップアマの宿命ではありますが、目先に固執するとかえっていい結果にならない事も含めて、自分の適性や限界との付き合いと他の手法の取入れが大事になります。
こちらでも、より多くの読者の為に触れていただきたいですね。

東京オリンピックも間近ですが、天性の才能や環境に恵まれた選手というのはきっかけになっても、参考にならない部分も多いです。
一方で、沢山の選手の中から、参考になる選手や参考になる部分を探すという考え方もありますし、そこをとっかかりに勉強すると色々わかります。
プロ選手も息の長い選手はむしろ、そういう選手が多いですね。

スピードやサイズに恵まれた選手の多い高校サッカー決勝は蹴りあいでボールの落ち着きどころもありませんでしたが、天皇杯決勝では怪我を抱えながら、ほとんどスプリント無しで試合終了寸前までプレーした選手がいました。
この違いを突き詰めると、自分の適性や状況と付き合いながら運動を楽しむということに繋がってきます。

小学生の体力低下の記事もありますが、そもそも全く運動しない子の率も問題です。
必ずしも競う必要でもなく、ジョギングやランニングを楽しくやれる環境を作っていくことではないかと思います。
靴もハードな練習に取り組むわけでもなければ、むしろ普通の靴の方が色んな関節周囲の筋肉や足裏の筋肉も鍛えられますからね。
怪我の恐れが無ければ裸足の時間も大事です。

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