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山中龍宏「子どもを守る」

医療・健康・介護のコラム

子どもの事故を予防する「3E」とは…「目を離すな」「注意しろ」では守れない

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 事故による傷害の問題について考える場合、1)事故が起こる前、2)事故によって傷害が起こったとき、3)傷害が起こった後、4)グリーフケア の四つの相に分けて考える必要があります。起こる前は「予防」、起こったときは「救命・救急処置」、起こった後は「治療、リハビリテーション」、そして関係者のグリーフケアです。この四つを合わせたものが「傷害対策」で、最も大切で経済的にもすぐれたアプローチは「予防」です。

子どもの事故を予防する「3E」とは…「目を離すな」「注意しろ」では守れない

イラスト:高橋まや

傷害予防の「3つのE」

 事故予防の重要性は誰もが口にしますが、すべての事故を防ぐことはできませんし、その必要もありません。事故予防において優先度が高い傷害とは、1)重症度が高く、後遺症を残す確率が高い傷害、2)発生頻度が高い傷害、3)増加している傷害、4)具体的な解決方法がある傷害 です。すなわち、医療機関を受診することが必要な傷害を予防する必要があるのです。

 「ほとんどの事故死は予防できる」と、WHO(世界保健機関)は指摘しています。傷害予防の基本として、3つの側面からのアプローチが重要であるとされています。1)製品・環境デザイン(Environment)、2)教育(Education)、3)法規制(Enforcement) の3つです (図1) 。英語の頭文字をとって3Eアプローチと呼ばれています。これらをうまく組み合わせることが重要です。

 「法規制」とは、重症度が高い傷害について社会ルールを変えることです。いったん法制化されると、その効果は明らかになりますが、いろいろな利害関係者がいるため調整に時間がかかり、法制化は難しい場合が多いのです。また、「教育」は、ほとんど費用もかからず、すぐにできることと思われがちですが、その効果を評価することは大変難しいものです。したがって、すぐに実行でき、効果の評価もしやすい「製品や環境の改善」を優先することが必要です。WHOも、製品や環境のデザインで解決できるものは、まず、それを実施することを優先する必要があると述べています。その上で、残った危険に関し、教育や運用のルールを作って対応していくことが原則です。

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山中 龍宏(やまなか・たつひろ)

 小児科医歴45年。1985年9月、プールの排水口に吸い込まれた中学2年女児を看取みとったことから事故予防に取り組み始めた。現在、緑園こどもクリニック(横浜市泉区)院長。NPO法人Safe Kids Japan理事長。産業技術総合研究所人工知能研究センター外来研究員、キッズデザイン賞副審査委員長、内閣府教育・保育施設等における重大事故防止策を考える有識者会議委員も務める。

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