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山中龍宏「子どもを守る」

妊娠・育児・性の悩み

「誤飲に注意」と話した1時間後に「ボタン電池を…」 親を責めても事故は減らない…過去事例から学ぶ

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 小児科医の山中龍宏といいます。連載を始めるにあたって、なぜ子どもの事故の予防に取り組んでいるのか、事故を予防する基本的な考え方についてお話ししてみたいと思います。

「誤飲に注意」と話した1時間後に「ボタン電池を…」 親を責めても事故は減らない…過去事例から学ぶ

イラスト:高橋まや

同じ年齢層の子どもが同じような事故に

 小児科のクリニックで、週に5日間、診療をしています。「公園で転んで額を切った」「ベッドから落ちた」「やけどした」「タバコを飲み込んだ」など、1週間に5~6人の事故例をみています。同じ年齢層の子どもが、同じような事故に遭って受診してきます。入院施設がないクリニックは軽症ばかりですが、救急指定病院には重症患者がたくさんやって来ます。

 「子どもの事故」という言葉を聞くと、それが起こった原因に、「親が見ていなかった」「親の不注意」などと、多くの人は思うのではないかと思います。保健センターの乳幼児健診では、保健師さんから「24時間、決して目を離さないで」と指導され、消費者庁からは、毎週、「○○に注意!」という「子ども安全メール」が発信されています。

「親の責任」「親の不注意」でいいのか

 では、現実はどうでしょうか。

 8か月児の健診の時、私が「誤飲しますから、危ないモノは手の届かないところに置いて」と指導したお母さん。帰って1時間後、クリニックに電話をかけてきました。

 「お恥ずかしい話ですが、子どもがボタン電池を飲み込んだかもしれない。どこを探してもないので」とのこと。すぐに受診してもらい、レントゲンを撮ると、胃にボタン電池がありました。

 子どもから目を離さなかったとしても、1歳児なら目の前で転倒します。この現実に対して、「親の責任」「親の不注意」と非難したり、「最近の親は……」と嘆いても、問題は解決しないのです。

 このことが理解できない方は、保育所に行って、1歳児クラスで1時間、子どもを見てみるといいでしょう。実態がわかります。事故防止のためには、まず、子どもの日常を知ることから始めなければならないのです。

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山中 龍宏(やまなか・たつひろ)

 小児科医歴45年。1985年9月、プールの排水口に吸い込まれた中学2年女児を看取みとったことから事故予防に取り組み始めた。現在、緑園こどもクリニック(横浜市泉区)院長。NPO法人Safe Kids Japan理事長。産業技術総合研究所人工知能研究センター外来研究員、キッズデザイン賞副審査委員長、内閣府教育・保育施設等における重大事故防止策を考える有識者会議委員も務める。

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1件 のコメント

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事例の解析と次善策

寺田次郎 六甲学院放射線科不名誉享受

ボタン電池ができる前から、子供の誤飲も消化管穿孔もありました。 一方で、ボタン電池の事故が発生してからも、ボタン電池はありました。 それは何故で...

ボタン電池ができる前から、子供の誤飲も消化管穿孔もありました。
一方で、ボタン電池の事故が発生してからも、ボタン電池はありました。
それは何故でしょうか?

そんな事を掘り下げることで、事故の発生率や重症化は減らせるのかもしれないですね。

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