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白内障治療用 3焦点レンズ…裸眼重視の人向け

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 目の表面近くにあり、レンズの役割を果たす「水晶体」が濁る白内障。人工の眼内レンズに取り換える手術が治療の中心だ。「遠く」「近く」「中間」のどれかに焦点が合うレンズが主流だが、2019年には、3点のいずれにも合うタイプが登場した。(米山粛彦)

白内障治療用 3焦点レンズ…裸眼重視の人向け

 目はカメラに似た構造をしている。外から入る光はレンズ役の水晶体で屈折し、フィルムにあたる奥の網膜で捉えられる。白内障は、水晶体内のたんぱく質が濁り、光がレンズをうまく通らない状態になる。まぶしさを強く感じたり、物が二重に見えたりする。加齢などにより進行し、80歳以上の大半が発症するとされる。

 症状が軽ければ経過を見る。生活に支障が出る場合は、濁った水晶体を人工の眼内レンズに換える手術が治療の基本だ。水晶体を超音波で砕いて除去し、眼内レンズを入れる。日帰りも可能だが、両目の時には、それぞれ日を改める。

 眼内レンズは複数の種類がある。「遠く」や「近く」など1点だけに合う単焦点レンズが標準的だ。たとえば、車の運転をよくする人は「遠く」に合ったタイプ、読書など手元周辺での作業時間が長い人は「近く」が向いている。単焦点レンズは公的医療保険の対象で、3割負担なら片方の目で4万円程度かかる。

  視力1・0以上に

 単焦点レンズは、焦点の合わない距離を見る時には不鮮明になるため、眼鏡が必要だ。なるべく眼鏡を使いたくない人には、複数の距離に焦点が合う多焦点レンズがある。これまで国が承認していたのは「遠くと近く」や「遠くと中間」といった2点に合うタイプだったが、「遠くと近くと中間」の3点に合うタイプが昨年秋から販売されている。

 東京歯科大水道橋病院眼科教授のビッセン宮島弘子さんらが新たなタイプを使った68人を調査したところ、両目で40センチ、60センチ、5メートル離れた3点を見た裸眼視力は平均1・0以上だった。

 ただ、多焦点レンズは、光を放つ場所の周辺に輪がかかったように見えるといった症状が起こりやすい。「期待していたよりも何となく見えにくい」と感じる人もいる。ビッセンさんは「単焦点より見え方の質が若干下がることがあっても、3点に合うレンズは裸眼での生活を重視する人向けといえる」と話す。

 横浜市の女性(74)は、19年初めから視界が曇る症状に悩まされるようになり、すれ違う人の目鼻もはっきりしない状態だった。4月に眼科クリニックで白内障と診断され、その半年後に昭和大藤が丘リハビリテーション病院(横浜市)で、3点に合うタイプのレンズを入れる手術を受けた。

 老眼で手元が見えにくかったという女性は「趣味の合唱でも老眼鏡なしで楽譜が読めます。目の疲れもなくなりました」と喜ぶ。

  手術の自己負担重く

 多焦点レンズの手術は、治療費の一部に保険がきく「先進医療」だ。実施することが認められた医療機関は、厚生労働省のホームページで確認できる。ただ、自己負担は大きく、片方の目で数十万円にも上る。

 同病院眼科教授の西村栄一さんは「それぞれのレンズの特徴を理解し、ライフスタイルに合わせて納得してから治療を受けてほしい」と呼びかける。

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