教えて!ヨミドック
医療・健康・介護のニュース・解説
目の前に大けがの人 止血法は?
傷の直接圧迫が基本
Q 東京五輪・パラリンピックに備えて、テロ対策が強化されているんだって。
ヨミドック 医療の分野でも、大けがをした人の治療が注目されています。日本では、医療関係者でも慣れていない人が多いので、訓練する必要があるからです。
Q どんなものがあるの?
ヨ 大けがで亡くなる原因は主に、大量出血。早いうちに止血すれば助かる命もあり、市民も、119番して救急車が来るまでの応急的な止血法を知っておくことが大切です。
Q どうやるの?
ヨ 基本は、傷を直接圧迫すること。傷口を覆えるくらいのガーゼや衣服をあてて押さえる方法です。テロや銃撃事件が多く、対応の経験を積んでいる米国などでは、傷が深く血が止まりにくい場合、傷にガーゼを詰める方法も行われていますが、日本では一般的になっていません。
Q 血を止めるために、出血した腕を縛っているのも見たことがあるよ。
ヨ 傷口を押さえても血が止まらない四肢の大けがならば、出血している所から5~8センチくらい胴体に近い所を三角巾やネクタイなど帯状の布で締め上げて止血することもあります。最近は「ターニケット」という専用の止血帯も導入され始めました。
Q どういうもの?
ヨ 輪になったベルトを出血している腕や脚に通し、短時間できつく締めて出血を止めるための道具です。元々は軍隊で使われていた医療機器の一つです。
Q 素人でも使えるかな?
ヨ 米国では市民にも普及していて、AED(自動体外式除細動器)の設置場所にはターニケットもあるそうです。事件の多発もあって、社会に広がりました。日本でも、救急車に備えられたり、市民向けの講習で使い方を教えるようになったりしています。
Q 注意点は?
ヨ 四肢を締める場合は、血が止まったら、それ以上は締めないでくださいね。止血帯をかけた時刻を書いた札を見えるところに付けましょう。ターニケットには時刻を記入するストラップがあります。
(高梨ゆき子/取材協力=森下幸治・東京医科歯科大病院救命救急センター医師、仙波希予志・日本赤十字社事業局救護・福祉部健康安全課長)
ヨミドックは読売新聞の医療サイト・ヨミドクターのお医者さんキャラクターです。
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