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【甘くみてはいけない、“転倒”】(1)高齢者 頭を打ったら即受診

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 高齢者の転倒・転落の危険性をテーマにした市民公開講座「甘くみてはいけない、“転倒”」が11月16日、東京都中央区のベルサール東京日本橋で開かれた。主に、心筋 梗塞こうそく や脳梗塞の治療で血液を固まりにくくする薬を飲んでいる高齢者にとっての危険性を知ってもらうのが狙い。九州医療センター脳血管センター部長の矢坂正弘さんの講演の後、山口大学教授の鈴木倫保さん、日本医科大学教授の横田裕行さんを交えてパネルディスカッションを行った。来場者約180人は熱心に聞き入っていた。(コーディネーター 読売新聞東京本社医療部長・館林牧子)

【主催】読売新聞社
【後援】厚生労働省、日本脳神経外科学会、日本救急医学会、日本脳神経外傷学会、日本脳卒中学会、日本循環器学会、日本脳卒中協会
【協賛】日本ベーリンガーインゲルハイム

九州医療センター脳血管センター部長 矢坂正弘さん

【甘くみてはいけない、“転倒”】(1)高齢者頭を打ったら即受診

 血液は心臓や血管の中では通常、固まりません。心臓の働きが悪くなって、血液の流れがよどんだり、血管が動脈硬化で細くなったりすると、心臓や血管の中で固まって血栓(血の塊)ができます。

 血栓が、血液の流れに乗って脳に運ばれ、血管を詰まらせるなどした時、脳梗塞が起こります。同様のことが、心臓、全身の血管でも起こります。その予防として抗血栓薬が使われます。具体的には心房細動に伴う心筋梗塞、狭心症、脳梗塞などを予防します。

 抗血栓薬には、凝固因子(血液を固めるたんぱく質)の働きを阻害する抗凝固薬と、血の塊を作って傷口を塞ぐ血小板の働きを抑える抗血小板薬があります。病気の種類で使い分けます。

 血管内で血液を固まらせない効果のある抗血栓薬は、出血時にも血を固まりにくくするので、注意が必要です。

 高齢者は循環器病が増えるため、抗血栓薬を使うことが増えます。一方、加齢とともに転倒のリスクも高まります。

 高齢者では交通事故よりも転倒・転落などで亡くなる人が多いのです。

直後は元気 急激に悪化

 転倒して頭を打つと、直後は元気で話もできているのに、しばらくすると急に意識障害やまひが出て状態が悪化することがあります。頭部受傷時に頭蓋内に小さな出血が起こり、しばらくして大きな出血になり症状が悪くなる「トーク(話す)・アンド・デテリオレイト(悪化する)」と呼ばれる現象です。

 救急搬送された65歳以上の頭部外傷患者の3人に1人が、抗血栓薬を飲んでいてこの「トーク・アンド・デテリオレイト」を発症しています。

 そこで「 Thinkシンク   FASTファスト 」キャンペーンを展開しています。高齢者が頭にけがをした時、抗凝固薬や抗血小板薬を飲んでいる場合を「早く考えて」行動しようと、一般市民や医療界に呼びかけています。

 患者さんと家族には次のことを知ってほしいですね。

 一時的に意識を失ったり、吐き気があったり、頭痛がひどかったりする場合は、コンピューター断層撮影装置(CT)や磁気共鳴画像装置(MRI)を使って脳画像を撮影します。小さな出血があれば、その時点で対策を講じます。

 〈1〉頭をぶつけた時は、病院を受診する〈2〉抗血栓薬の作用や服薬について正しく理解する〈3〉飲んでいる薬の名前や、抗血栓薬の働きを止める中和剤の有無を確かめる〈4〉救急時に病院へ搬送された時に、医療関係者がすぐ分かるように、お薬手帳や飲んでいる薬の名前を記したカードなどを持ち歩く。

 高齢者が頭部を打撲した場合の対応をよく理解しておいた上で、抗血栓薬を様々な病気の予防や治療に役立てていきましょう。

やさか・まさひろ  1982年、熊本大学医学部卒。国立循環器病センター内科脳血管部門医長などを経て現職。61歳。

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