夫と腎臓とわたし~夫婦間腎移植を選んだ二人の物語 もろずみ・はるか
医療・健康・介護のコラム
「美肌」「小顔」へ…私の容姿コンプレックスを吹き飛ばしてくれた夫の腎臓
「腎臓はデトックスの臓器」と言われる意味を、私は、腎移植を経てようやく理解した。若さを保つとか、美肌をつくるとか、美に直結する臓器としては、最近の「腸活」で話題になっている腸をイメージしていたが、まさか、腎臓さんもでしたか……。それを教えてくれたのは、私のおなかの中にある夫の腎臓だ。
腎移植=美容効果?
1年9か月前、私は夫から健康な腎臓を一つ分けてもらい、腎機能を取り戻した。健康と美容は直結するというのは、考えてみれば当たり前なのだが、生きるために腎移植を選んだ私にとって、手術後の変化はサプライズの連続だった。それは、世界中のレシピエント(腎臓をもらう側)が、SNSなどで告白していることでもある。
「腎移植=美容効果」という観点で、ありのままをお伝えするなら、次の3点になる。
- 老廃物が排出されて、全身の皮膚が明るくなり、美白されたような肌になる
- むくみから解消され、顔も体も一回り小さくなり、すっきりとした体形になる
- 乾燥肌から解放され、潤いに満ちた肌になる
手術後、わずか数日で変貌

左は透析中、右は腎移植後約1か月の手。腎機能を取り戻したことで肌は潤いたっぷりのピンク色に(劉薇さん提供)
写真を見てもらいたい。今年の7月5日、私と同じく、旦那さんの腎臓を一つ分けてもらったバイオリニスト・ 劉薇 さんの手の甲である。左の写真は肌がくすみ、皮がむけている。右の写真は、血色が良く、肌表面が潤っている。
「左の写真は透析で極度の乾燥、シワシワで黒く見苦しい手に、術後1週間で脱皮しはじめていた。2枚目は先週撮ったもの、すっかり潤っていた。 この変化を夫に見せたら、驚いたようで、撮らせてと3枚目を今日撮ってくれました」(劉薇さんのFacebookより2019年8月17日投稿)
50代の劉さんは、本来の素肌を腎機能の回復とともに取り戻しつつある。わずか数日間に起きた出来事とは思えない 変貌 ぶりだ。手だけではなく、「足裏は幼児のような足になり、柔らかくピンク色に変わった」という。
間質性腎炎を患っていた劉さんは、2009年に医師から透析が必要だと言われたが、食事に工夫をしながら腎機能を長く維持してきた。実際に透析を開始したのは、18年の暮れその頃、腎機能を表すクレアチニンの数値は13mg/dlで、人工透析を受けても10mg/dl程度にしか下がらなかった。それが、腎移植後の数日で、1.16mg/dlまで下がったというのだ。
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