思春期の子どもを持つあなたに 関谷秀子
妊娠・育児・性の悩み
第12部 身体症状症(上)原因不明の頭痛や吐き気を訴える中1女子。背景に隠れた母親との関係は
友達にも気を使いすぎる性格が
母親の話が終わると、次にA子さんの話を聞きました。
開口一番、彼女は次のようなことを口にしました。
「前に行った病院では、めまいがしたり、頭痛がしたりの原因はストレスだと言われたけれど、私はそう思いません。特に思い当たるようなストレスは自覚していないし、なんで自分はこんな状態になっているのかわからないんです」と首をかしげていました。
そして、話は学校の友達関係のことになりました。
「中学に入ってから、本音を言える相手がいないんです。休んだ友達のためにノートを作ってあげたりもしているんですが。私は周囲に気を使いすぎちゃっているかもしれません」
そこで、家のことを尋ねると、「よく、お母さんの仕事の愚痴を聞いてあげています」と大人びた様子で答えました。
「なるほど。A子さんは『思い当たるストレスはない』と言っていたけれど、実際は学校でも家庭でも、気を使っていて、大変そうに見えるけれど」と私が伝えると、「周りの人に気を使うのは、当たり前のことだと思っています。今までは、良いとも悪いとも、意識さえしていませんでした。でも、先生のおっしゃるとおり、知らない間にそれがストレスになっていたのかもしれません」と答えました。
2 / 2
【関連記事】
人間社会の生み出した魔物や権力と付き合う
寺田次郎 六甲学院放射線科不名誉享受
HSPの記事もありましたが、大人になるということは無視や鈍感さの活用の側面もあるのに、その部分に順応できない弱さや不器用さですね。 そういう純粋...
HSPの記事もありましたが、大人になるということは無視や鈍感さの活用の側面もあるのに、その部分に順応できない弱さや不器用さですね。
そういう純粋さや優しさは強さでもありますが、いつでも、どこにでも、誰にでも優しくすることは凡人には不可能です。
少し話は飛びますが、どこの国にも神様を崇め奉る宗教があります。
おそらく、富や知識、武力、権力など個人の能力を超えたものをコントロールするための知恵であり、逆に、持て余した個人や組織の暴走も歴史に学ぶことができます。
そして、多神教もあれば一神教もあるわけですが、人間やその造物主たる神の多面性を表現したものなのかもしれません。
時に火であったり、悪魔であったりも、崇拝するわけですが、超越性とか人の理解やコントロールを超えたものとかいう補助線を引いて考えるとわかります。
神様によっては生贄とか要求するわけで悪魔とも言えるでしょう。
様々な動作に慣れが必要なのと同じく、様々な態度も慣れや我慢が必要です。
転校なんかの環境変化もそうです。
大人より子供は経験値も心身の体力も足りませんが、親が鈍感力を身に着けてしまうと、子供は板挟みになります。
子供のうちに精一杯子供をやった方が良い、というのは平和で安全な国の贅沢ですが、一方で、そういう贅沢が子供本人にとっては贅沢や幸福とは限らない難しさがあります。
端的に言えば、価値観の乖離です。
そして、多様な正義=価値観と気分をどういう風に使い分けてコントロールするかは個人も社会も課題であり、そうしたものの扱いに、個人も教師も医師も慣れていく必要があります。
いつでも完璧な人間なんていません。
しかし、集団で達成した完璧性や超越性の現実や幻想と我々は向き合いながら生きていく必要があります。
子供がそれに慣れなくて一般には不可解な症状を示すのも仕方ないです。
昔は悪魔憑きなどというものありました。
つづきを読む
違反報告