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認知症介護あるある~岡崎家の場合~

医療・健康・介護のコラム

古希越えてモテ期到来!? 「うちに泊まって」と母娘が綱引き…父さんの施設入所(6)

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「初めての場所」がストレスに

 ところが、私の相談に、しばらくの沈黙を経てケアマネジャーが口にしたのは、「お母さんがそうおっしゃるならば、お父さんはご実家に帰った方がいいかもしれませんね」という返答だったのです。

 「えぇ~っ!」と、心の中で絶叫する私に、その真意を説明してくれました。

 いわく、母さんが「家での父さんの介護は無理。杏里のところで頼むわ~」と言っているならば、娘のマンションでもいいと思ったそうです。一方で、父さんが、一度も私の住むマンションに来たことがないのが、ずっと気になっていたそうなのです。

 というのは、認知症の人は初めての場所や環境の変化に対応するのが難しく、場合によっては、症状が悪化したり、パニックを起こしたりすることがあるのです(介護の専門用語で「リロケーションダメージ」といいます)。たった2日間に、老健→初めて来る私のマンション→ショートステイの施設と移動することになれば、認知症の父さんに、より大きな負担となってしまう可能性があります。

プロの意見に納得

 長年を過ごした家の方が、体がどこに何があるかを覚えていることもあり、段差ばかりの実家でも、見守り程度のサポートがあれば、転倒などの心配は少ないでしょう。隙間風がピューピュー入ってきても、気持ち的な面で安らげるのではないか。さらに、母さんは父さんのお世話をすることで、すっかり弱ってしまった自身を奮い立たせようとしているのかもしれない――。

 冷静で的確なプロの意見に、母さんとのバトルでちょっとヒートアップしていた私も、うなずくばかりでした。最後にケアマネジャーは、「お父さんのご意見を伺って、本人が自宅に帰ることを希望するならば、できる限りのサポート態勢を考えます」と言ってくれました。

人の気も知らないで…マイペースな父さん

 私は、「母さんが大変だから」「父さんもバリアフリーの方が良いに決まっている」など、両親のことを考えているつもりでいながら、一番肝心な「父さんの希望はどうなのか?」「母さんの父さんに対する思いは?」という視点を忘れていました。猛省しつつ、父さんに「どう思っているの?」と、意見を聞いてみると……。

 「お刺し身が食べられれば、どっちでもいい」と、これまた、まさかの返答! こちらの思いも露知らず、父さんは相変わらずマイペースなままなのです。(岡崎杏里 ライター)

登場人物の紹介は こちら

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認知症介護あるある~岡崎家の場合~

岡崎杏里(おかざき・あんり)
 ライター、エッセイスト
 1975年生まれ。23歳で始まった認知症の父親の介護と、卵巣がんを患った母親の看病の日々をつづったエッセー&コミック『笑う介護。』(漫画・松本ぷりっつ、成美堂出版)や『みんなの認知症』(同)などの著書がある。2011年に結婚、13年に長男を出産。介護と育児の「ダブルケア」の毎日を送りながら、雑誌などで介護に関する記事の執筆を行う。岡崎家で日夜、生まれる面白エピソードを紹介するブログ「続・『笑う介護。』」も人気。

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日野あかね(ひの・あかね)
 漫画家
 北海道在住。2005年にステージ4の悪性リンパ腫と宣告された夫が、治療を受けて生還するまでを描いたコミックエッセー『のほほん亭主、がんになる。』(ぶんか社)を12年に出版。16年には、自宅で介護していた認知症の義母をみとった。現在は、レディースコミック『ほんとうに泣ける話』『家庭サスペンス』などでグルメ漫画を連載。看護師の資格を持ち、執筆の傍ら、グループホームで介護スタッフとして勤務している。

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