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Dr.三島の「眠ってトクする最新科学」

医療・健康・介護のコラム

「何時間も寝つけない」「夜中に目覚めてから一睡も」、でも実際は…不眠患者に多い「睡眠状態誤認」 睡眠薬は逆効果も

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 こんにちは。精神科医で睡眠専門医の三島和夫です。睡眠と健康に関する皆さんからのご質問に科学的見地からビシバシお答えします。

 本コラムでは何度も不眠を取り上げてきました。不眠に悩む方は多く、睡眠障害の中でも、不眠症は最もポピュラーな病気の一つです。診察では、不眠症の患者さんが「寝つきに1時間以上かかる」「夜中に目覚めてその後は一睡もできない」などと訴えますが、多くの場合、症状を実際よりも強く感じているようです。一体どういうことなのでしょうか?

 今回は不眠症に関する最大のミステリーである「睡眠状態誤認」をご紹介します。

脳波測定より主観的な症状を重視

 高血圧であれば血圧測定で、糖尿病であれば血糖測定で、それぞれ病気の重症度や治療薬の効果を客観的に知ることができます。ところが、不眠症については、血圧計や採血に相当するような検査がありません。

 睡眠中の脳波測定をすることで睡眠時間や睡眠の深さを客観的に測定できる睡眠ポリグラフ検査がありますが、不眠症の診断や治療薬の効果判定には通常使われません。では何を指標に診療しているかというと、患者さんが感じている症状、つまり主観的な不眠症状を最も重視しています。

検査では「二度寝をしてよく眠っている」ことも

 不眠症の診断基準は、2018年11月のコラム 『「朝早く目覚めて二度寝できない」「夜中に何度もトイレに」…加齢とともに出てくる睡眠への不満 治療が必要なケースとは?』 で紹介しましたが、その第1項目「A.入眠困難、中途覚醒、早朝覚醒などの不眠症状がある」については、睡眠ポリグラフ検査のデータではなく、患者さんが感じている不眠(主観的不眠症状)を参考にします。つまり患者さんが「不眠がある」と感じれば「A.不眠症状あり」と判定します。

 なぜ、不眠症の診療では、睡眠ポリグラフ検査の結果ではなく、主観的不眠症状を重視するのでしょうか? それは、患者さんが感じている不眠の苦痛や不安が、客観的睡眠データと必ずしも一致しないからです。

 例えば、「寝つきに1時間以上かかる」と苦痛を訴える患者さんが、睡眠ポリグラフ検査では20~30分で寝ついていることも少なくありません。また、「夜中に目覚めてその後は一睡もできない」と訴える患者さんが、実際には二度寝をしてかなりよく眠っていることもあります。

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三島和夫(みしま・かずお)

秋田大学大学院医学系研究科精神科学講座 教授

 1987年、秋田大学医学部卒業。同大助教授、米国バージニア大学時間生物学研究センター研究員、スタンフォード大学睡眠研究センター客員准教授、国立精神・神経医療研究センター睡眠・覚醒障害研究部部長を経て、2018年より現職。日本睡眠学会理事、日本時間生物学会理事。著書に『不眠症治療のパラダイムシフト』(編著、医薬ジャーナル社)、『やってはいけない眠り方』(青春新書プレイブックス)、『8時間睡眠のウソ。日本人の眠り、8つの新常識』(共著、日経BP社)などがある。

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