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「続・健康になりたきゃ武道を習え!」

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「武道好きサラリーマンあるある」 ウクライナ外交官の場合

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20代で来日、すぐ入門 2年でやめてしまった

 ルトビノフさんは、ウクライナの大学5年生だった1995年11月から、本国の外務省の仕事を研修員として始め、大学卒業後の96年7月から正式に入省。アジア地区を担当し、98年4月に来日、日本大使館の三等書記官として勤務した。その後、2005~06年は帰国して本国の大学院で学び、07~12年は再び日本で大使館勤務。13年に帰国して本国の外務省の課長として働き、15年2月に再び来日、現在まで大使館の公使参事官として勤務している。

 空手との出会いは、実はけっこう古い。1998年4月に来日してすぐに、ある伝統派空手に入門した。まだ20歳代前半だった。なぜ空手をやろうと思ったのだろうか。

 「空手は単なるスポーツではなく、武士道でもあります。技や型を学ぶだけでなく、勇気、規律、忍耐、道徳、尊敬を学べます。そういう意味で、とても教育的です。せっかく空手のふるさとに来たのですから、ぜひ学びたい、と思ったのです」

 そんな思いで始めた空手だから、一生懸命に稽古した。ところが、やがて仕事が猛烈に忙しくなり、次第に稽古に出られなくなってしまった。毎週通っていたのが、2週間に1回になり、3週間に1回になり……。こうなると稽古している感じがしなくなってしまい、2年ほどしてやめた。

真の武道好きは、いつかは武道の世界へ戻ってくる

 実は何を隠そう、私にも似たような経験がある。

 社会人(新聞記者)になって数年たち、仕事にも慣れたころ、ある武道の道場に通い始めた。大学4年間は少林寺拳法部で武道一色の生活だったから、いつか武道の稽古を再開したいと思い続けていた。でも、やはり仕事が忙しくて、最初から思うように稽古に参加できない。週に1回はおろか、月に1回も稽古に参加できなくなり、3か月ほどでやめてしまった。これって、「武道好きサラリーマンあるある」の一つなのではないだろうか。

 しかし、真の武道好きは、いつかは武道の世界へ戻ってくるのだ。ルトビノフさんもそう。2015年2月に来日した時はすでに40歳で、最初の空手道場をやめて十数年が過ぎていた。結婚もして、5歳になる息子がいた。

 彼の友人の大使館員が以前、極真空手の恵比寿道場(代官山道場の前身)で稽古をしていた縁から、責任者の赤石さんや現・横須賀道場の責任者、日比野丈二さん(コラム2回目に登場)らに会って話を聞き、稽古も見学した。

 「極真空手の稽古はハードだが、創始者の大山倍達総裁の教えは、まさに武道であり、武士道だと思いました」

 ルトビノフさんは同年10月、5歳の息子と一緒に同道場に入門。久しぶりの空手修行が始まった。

 次回は、ウクライナ人の彼が感じる「空手の魅力」を語ってもらおう。

 (山口博弥 読売新聞編集委員)

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山口 博弥(やまぐち・ひろや) 読売新聞東京本社編集委員

 1962年福岡市出身。1987年読売新聞社入社、岐阜支局、地方部内信課、社会部、富山支局、医療部、同部次長、盛岡支局長、医療部長を経て、2018年6月から編集委員。同年9月から1年間、解説部長も兼務。医療部では胃がん、小児医療、精神医療、慢性疼痛、医療事故、高齢者の健康法、マインドフルネスなどを取材。趣味は武道と映画観賞。白髪が増えて老眼も進行したが、いまだにブルース・リーを目指している。

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1件 のコメント

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ファンタジスタのパスに込めたメッセージ

寺田次郎 関西医大放射線科不名誉享受

プロレスラーの大物政治家もついに引退しましたが、格闘技やスポーツは政治と切り離せない部分があります。 それは、現地の人々や文化と交わる、あるいは...

プロレスラーの大物政治家もついに引退しましたが、格闘技やスポーツは政治と切り離せない部分があります。
それは、現地の人々や文化と交わる、あるいは溶け込む作業だからです。

サッカーでは、少なくない国で、中央政府が後押しした常勝チームが存在しますが、一方でそのレジスタンス的なコミュニティも存在しますし、地域のチームへの愛着は並々ならぬものがあります。
日本は第二次世界大戦の敗戦国ですし、敗戦国ではなくても甚大な被害をこうむって強国の傘の下に入らざるを得なかった国や地域は多数存在します。
そういう国との心理的な外交において、倣うべき点も多いでしょう。

医療の宗教性と多様性のタイトルでも、何回かヨミドクターにコメントを入れさせていただきましたが、政教分離の原則というのは、それが実質的に不可能なので、エスカレートしないようにブレーキをつけましょうという事ではないのかと思います。
医療に限らず、日本の政治でも、それを見ることはできます。

日本にも外交官の親戚のサッカー選手が存在しますが、外交官の家族が様々な国技に触れるのは凄く良い事ではないかと思います。
どんなに、日本の細部や日本ウクライナ関係を理解して言語化するよりも、日本の国技を体現する方が、信用が発生する場合があるからです。
仕事そのものも大事ですが、表門からだけでは伝わらない情報や関係が勝手口から伝わります。
サッカーでも、パスにメッセージを込めろと言いますが、出し手と受け手の高度な理解と応用があらゆる分野で可能性を動かします。

人は革命の為ではなく革命家のために戦うんだ、なんて戦争アニメの名言を引用したくなりますが、その人の人間性や努力がどういう形で伝わるかはわかりませんし、外交官や外国人の日本文化を体現しようとする努力を我々は受け止める必要があるのかもしれません。
ほんの少しでも世界協調や世界平和のために。

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