のぶさんのペイシェント・カフェ 鈴木信行
医療・健康・介護のコラム
年末の受診 処方箋の有効期限に注意
正月休みを前に病院も混雑
年末も押し迫り、このカフェに顔を出せるのも今日が今年最後になるだろう。年末のあいさつをマスターののぶさんにしておこうと思って、仕事に帰りに寄ってみた。さすがに混んでいる。
寒い中、外で数分待たされた。ようやくカウンター席が空き座ると、注文とほぼ同時に温かなコーヒーをのぶさんが持ってきた。
「早いですね」
「いつも注文いただくのはこのコーヒーだし、お待ちいただいて体が冷えているだろうから、と思って……」
先読みをして、早々に 淹 れてくれたらしい。ありがたい。両手でカップを包むように持ち、指先を温める。
「さすがに年末は混みますね」
「ウチに限らず、世の中全体がせわしなくなっていますよね。病院とかも」
のぶさんが言うには、年末年始に外来を休む病院は多いから、その直前の時期は結構混むらしい。
処方箋の有効期限は4日間

処方箋にはよく見ると「4日以内」と有効期限が書かれている
「混むだけではなくてね……」
のぶさんが、洗ったカップやグラスを拭きあげながら、話を続けてくれる。病院はやっていても、いつもの薬局は年末年始休みに入ってしまう可能性があるという。
以前、薬局は、病院の前ではなくて、自宅や職場の近くにかかりつけを持つといいと言われていた。妻や母にもそれは伝えているので、それ以来薬局を変えたようだった。
「でも、毎日飲む薬は少し残っていれば、正月休み明けにもらえばいいですよね」。年末の混雑よりは年始の方が空いているだろうから、のぶさんに言ってみた。
「そりゃ無理なんですよ。」
ん? なぜだ。
「処方箋は、原則4日しか有効期限がないんですよ」
ん! 12月25日にもらった処方箋は、28日までに薬局に渡さないとならないということか。
救急相談窓口の電話番号を登録
年末年始の受診は、結構戸惑うことが多いのかもしれない。急病になったらどうすればいいのだろう。大学病院ですら休むと聞いている。
「もし何かあっても困らないように、携帯電話に『救急相談窓口』を登録しておくといいですよ」
そう言って、のぶさんは自分のスマートフォンをカウンター越しに見せてくれた。「救急相談窓口 #7119」と登録されている。なんだろう、この番号は。
東京や大阪などいくつかの地域では、急な病気やケガをした場合などに「救急車を呼んだほうがいいのか?」、「今すぐ病院に行ったほうがいいのか?」など迷った際の電話相談窓口として、この番号が使われているらしい。ただし、地域によって番号は異なるので、自治体のホームページなどで調べて、いまのうちに番号を登録しておくとよいそうだ。
のぶさんが淹れてくれたコーヒーを飲みながら、「救急」「相談」「市町村名」のキーワードで検索してみた。「休日夜間の救急医療体制」という項目でヒットした。私の住む市では市外局番で始まる番号が用意されているようだ。お礼を言いつつ、さっそく登録しておく。
小児の救急相談は全国共通#8000
後ろのテーブル席には、ベビーカーに乗った赤ちゃんとそのご両親がいた。彼らもこの話を聞いていたらしく、スマホをいじり始めた。それを見たのぶさんが、そのお母さんに話しかける。
「子どもの場合は、全国どこでも、#8000という番号がありますよ」
年末年始に子どもが急病やケガをした際など、救急車を呼ぶかどうか悩んだら、かけてみる価値はありそうだ。
実家で一人暮らしの母にも、帰省した時に教えよう。また、このカフェで宿題をもらったようでもあり、年始にのぶさんに報告できることも楽しみでもある。
「よいお年をお迎えください……」
年末のあいさつをしてカフェを出た。北風はやはり冷たく顔に当たってくる。
(鈴木信行 患医ねっと代表)
下町と言われる街の裏路地に、昭和と令和がうまく調和した落ち着く小さなカフェ。そこは、コーヒーを片手に、 身体 を自分でメンテナンスする工夫やアイデアが得られる空間らしい。カフェの近所の会社に勤める49歳男性の私は、仕事の合間に立ち寄っては、オーナーの話に耳を傾けるのが、楽しみの一つになっている。
(※ このカフェは架空のものです)
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