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指の病克服 はずむ音色…ピアニスト・本山さん

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 意思とは関係なく筋肉が硬直、収縮する病を右手の親指に発症し、左手だけで演奏した経験も持つ長崎県佐世保市出身のピアニスト本山 乃弘のりひろ さん(36)(埼玉県朝霞市)が7日、故郷でリサイタルを開く。コンクールに臨むピアニストたちを描いた今秋公開の映画「蜜蜂と遠雷」で演技指導を担当するなど、活躍の幅を広げる中での開催となる。

故郷・佐世保で7日リサイタル

指の病克服 はずむ音色…ピアニスト・本山さん

リサイタルを控え、実家でピアノに向かう本山さん(11月25日、長崎県佐世保市で)=佐藤陽撮影

 「数多くの曲を失ってしまうのではないかという絶望に近い感情に襲われました」。指を思うように動かせなくなった大学3年の時のことを本山さんはそう振り返る。

 4歳でピアノを始め、小学3年の頃には、バッハやショパンの曲にひかれて将来の夢をピアニストと定めた。学校から帰宅後に4時間、休日は7時間ほど練習を重ねた。

 佐世保市の中学を卒業後、東京芸大付属音楽高、東京芸大に進学。大学3年の冬、右手に違和感を覚えた。次第に思い通りに動かせなくなり、演奏会では譜面と異なる 鍵盤けんばん を押してしまうミスを犯した。その後、「局所性ジストニア」と診断された。

 NPO法人ジストニア友の会によると、ジストニアの中でも「局所性」は、指を酷使する音楽家や理容師などが多く発症するとされ、根本的な治療法は確立されていない。

 それでも本山さんは「まだ弾きたい曲がたくさんある」と、リハビリに専念した。改善した人もいると知り、子どもの頃に練習した曲をゆっくりと弾くことから始めた。左手だけで演奏できる曲の練習もし、診断から2年後、日本演奏連盟の推薦新人演奏会では、片手での演奏でオーディションに合格し、九州交響楽団と共演した。

 10年余り病と向き合い続け、32歳頃から違和感なく両手で演奏できるようになった。「蜜蜂と遠雷」は恩田陸さんのベストセラー小説を実写化した映画。本山さんの演奏する姿や雰囲気を見たこの映画の監督から依頼を受け、ピアニスト役の一人、松坂桃李さんの演技指導をした。

 リサイタルを前に「左手だけの演奏を経験し、一音一音がより いと おしくなった。その音色を多くの人に聴いてもらいたい」と話す。

 本山乃弘ピアノリサイタル―情動との 対峙たいじ ― 7日午後2時、佐世保市のアルカスSASEBO。ベートーベンの「ピアノソナタ  悲愴ひそう 」などを披露する。一般4000円(前売り3500円)、25歳以下1500円(同1000円)。チケットはアルカスや長崎市の絃洋会楽器店などで扱っている。

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