40代から備えよう「老後のお金」 楢戸ひかる
医療・健康・介護のコラム
年金は「繰り下げ受給」で最大42%増に まず、5年分の生活費を準備しよう!
今年最後のコラムとなりました。2019年は、いわゆる公的年金の「2000万円足りない」問題が注目されたことにより、年金について考えてみた人も多かったのではないでしょうか? 大規模な金融制度改革だった「金融ビッグバン」になぞらえて、19年は「年金ビッグバン」が起きた年と言ったら、言い過ぎでしょうか?
「2000万円問題」の功罪
年金2000万円問題の発端は、6月上旬に公表された金融庁の金融審議会「市場ワーキング・グループ」の報告書でした。全51ページの報告書の中の、たった一文が切り取られて大騒ぎに。 本来の報告書の趣旨とは、ずれた報道も多かったことについては、以前書きました 。
私は、「何だかなぁ……」という気持ちが拭えず、報告書を作成した金融審議会のメンバーに、直接、騒がれた「2000万円問題について、どうお感じですか?」と、聞いてみました。
私がお話を伺ったのは、セゾン投信社長の中野晴啓さんです。中野さんは、「一般の方へのインパクトがあったという意味で、一定の意義を果たしたと納得している」と言います。同社が開催する長期投資の勉強会には、「貯金以外はしたことがない」という層も参加するようになり、「『自分の年金は、自分で作る』という意識の人が増えたのでは?」とも、おっしゃっていました。
繰り下げると受給率が増える老齢年金
40代が年金を考える時、最初に知っておいてほしいことは、「老齢年金は、繰り下げると受給率が高くなる」、つまり、受給額が多くなるということです。繰り下げとは、年金の受給開始年齢を遅らせることをいいます。
現行では、70歳まで受給開始を繰り下げることが可能。1か月繰り下げるごとに受給額が0.7%増える計算で、70歳から受給を開始すれば、増額率は42%です。ずいぶん違ってきますね。
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