文字サイズ:
  • 標準
  • 拡大

40代から備えよう「老後のお金」 楢戸ひかる

医療・健康・介護のコラム

年金は「繰り下げ受給」で最大42%増に まず、5年分の生活費を準備しよう!

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック

65歳までに1560万円を!

 しかし、年金受給を70歳からに繰り下げるには、65歳から70歳になるなでの生活費を確保しておく必要があります。一般社団法人公的保険アドバイザー協会理事の山中伸枝さんは、この5年間の生活費を目標に貯蓄することを勧めます。具体的には、「1560万円」です。

生活費月26万円×12か月×5年=1560万円

 厚生労働省が発表した2019年度の厚生年金支給額は、22万1504円(標準的な夫婦の場合)です。「生活費月26万円」の計算根拠は、年金が2000万円足りなくなるとされているモデルケース(下図参照)を例にしており、「現在、月26万円よりも多く生活費がかかっている」という夫婦の場合は、その分、貯蓄目標額を多くする必要があります。

65歳までに1560万円を!

第 21回市場ワーキング・グループ 厚生労働省資料より

「自分事」として考えることに意味がある

 年金については、「自分の場合は、どうなのか?」を、考え始めてみることが大切です。たとえば、この連載は「40代から備えよう老後のお金」というタイトルですが、同じ40代でも、40歳と49歳では老後までの持ち時間が違います。そうなれば、65歳から70歳まで5年間の生活費を作るという目標は同じでも、月々貯蓄に回さなければいけない額は違ってきます。

「自分事」として考えることに意味がある

 こんな試算をすると、 憂鬱(ゆううつ) な気分になりますね。私自身、中学生~大学生の息子3人を育てている今、教育費は最大の山場! 老後資金として、毎月5万~8万円を () める余裕は全くありません。

 ただ、現実は見すえておかないと、かえって怖いとも感じています。なぜなら、マネー記事の取材を通じて、日本の年金制度は、アメリカやイギリスのように、「最低限の生活保障」というカタチになっていくと予測するからです。自分らしく老後を送りたければ、お金の話からは逃げられない……。

不確実だからチャンスが生まれる

 仮に目標額の1560万円を、「長期投資3%の利回りで準備した場合、毎月の投資額はいくらか?」をシミュレーションしてみました。(3%の利回りは、世界のGDPの伸びが目安です)

不確実だからチャンスが生まれる

 もちろん、貯金の結果は確約されていますが、投資の結果は不確実で、マイナスになる可能性もあります。しかし、貯金(確実性のある金融商品)のゼロ金利がこれだけ長引いている今、そろそろ「不確実性」の捉えなおしが必要な時期だとも思います。不確実だからこそ、3%の利回りを得るチャンスが生まれるのですから。

 そういう意味で、「金融ビッグバン」は、政府の金融政策改革だったのに対し、「年金ビッグバン」は個人の意識改革だと思うのです。来年は、後ろ倒しにしていた「自分年金づくり」について、腰を据えて考えてみようと思っています。(楢戸ひかる マネーライター)

2 / 2

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック

narato-hikaru_prof

楢戸 ひかる(ならと・ひかる)

マネーライター
 1969年生まれ。大手商社に勤務後、90年代よりマネー記事を執筆。「誰もが安心してお金のことを学ぶ場」である「お金のリビング」を主宰。その入り口として、「ザックリ家計簿」ワークショップをオンラインにて開講中。詳しくはホームページ「主婦er」で。
 お金の記事だけでなく、「家族」や「暮らし」についてもコンテンツ更新中。

40代から備えよう「老後のお金」 楢戸ひかるの一覧を見る

コメントを書く

※コメントは承認制で、リアルタイムでは掲載されません。

※個人情報は書き込まないでください。

必須(20字以内)
必須(20字以内)
必須 (800字以内)

編集方針について

投稿いただいたコメントは、編集スタッフが拝読したうえで掲載させていただきます。リアルタイムでは掲載されません。 掲載したコメントは読売新聞紙面をはじめ、読売新聞社が発行及び、許諾した印刷物、読売新聞オンライン、携帯電話サービスなどに複製・転載する場合があります。

コメントのタイトル・本文は編集スタッフの判断で修正したり、全部、または一部を非掲載とさせていただく場合もあります。

次のようなコメントは非掲載、または削除とさせていただきます。

  • ブログとの関係が認められない場合
  • 特定の個人、組織を誹謗中傷し、名誉を傷つける内容を含む場合
  • 第三者の著作権などを侵害する内容を含む場合
  • 企業や商品の宣伝、販売促進を主な目的とする場合
  • 選挙運動またはこれらに類似する内容を含む場合
  • 特定の団体を宣伝することを主な目的とする場合
  • 事実に反した情報を公開している場合
  • 公序良俗、法令に反した内容の情報を含む場合
  • 個人情報を書き込んだ場合(たとえ匿名であっても関係者が見れば内容を特定できるような、個人情報=氏名・住所・電話番号・職業・メールアドレスなど=を含みます)
  • メールアドレス、他のサイトへリンクがある場合
  • その他、編集スタッフが不適切と判断した場合

編集方針に同意する方のみ投稿ができます。

以上、あらかじめ、ご了承ください。

最新記事