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本田秀夫「子どものココロ」

コラム

女子に10代からの発症多い「神経性やせ症」…活発に見えても極度の低栄養 放置すると命の危険も

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児童期からみられる「回避・制限性食物摂取症」

 小学4年生のPさんは、不安が強く、慎重な性格の女の子です。ある時、お菓子をたくさん食べ過ぎてしまい、しばらくしてから気分が悪くなり、 嘔吐(おうと) しました。そのことがかなりショックだったPさんは、以来、「たくさん食べると吐くかもしれない」と心配になり、食事を少量しか食べられなくなりました。家族は、「そのうち食べられるようになるだろう」と思い、様子を見ていましたが、半年たっても食事量は増えず、体重がどんどん減ってきました。本人は、「食べないと体に悪い」と思っており、別にやせたいと思っているわけでもないのに、「吐くことが心配で食べられない」と言います。家族が病院に行こうと提案したところ、本人も希望して病院を受診しました。

 子どもに見られる食行動の異常によるやせでは、神経性やせ症のような肥満恐怖や、やせ願望のみられないタイプもあります。最近では、このタイプを「回避・制限性食物摂取症」と呼び、神経性やせ症とは区別しています。神経性やせ症と比べ、児童期に発症することも多く、男の子にも見られます。嘔吐、腹痛、いじめなどの誘因があることが多いと言われています。やせたときの身体的変化は、神経性やせ症と同様です。

こころの葛藤に根気強くつき合う

 神経性やせ症や回避・制限性食物摂取症では、食行動の改善と身体状態の改善(体重増加や月経の回復)がとても重要です。低体重が著しい場合や、身体状態が著しく悪化している場合などには入院治療を行います。

 それだけでなく、背景に自尊心の低下や、家族や友だちなどとの人間関係の悩みなど、こころの問題を抱えている場合が多いため、それらに対するカウンセリングも行います。とくに神経性やせ症では、本人が体重を増やすことに強い抵抗感を抱いでおり、治療が始まってからも、こっそり食べ物を捨てるなどの行動がみられることがあります。そのようなこころの葛藤に対して根気強くつき合いながら、健康を維持するために必要な食事量について子どもに学んでもらい、少しずつ偏った考え方を改善していきます。治療を続けていくうちに、栄養状態が改善し、考え方が柔軟に変化してくるケースも多く見られます。

 毎回の食事を用意する家族の心理的負担も大きくなります。前向きに治療への協力が得られるよう、焦りや負担感を軽くしながら、家族を含めたサポートをしていきます。(本田秀夫 精神科医)

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本田秀夫(ほんだ・ひでお)

 1964年、大阪府豊中市生まれ。精神科医。信州大医学部子どものこころの発達医学教室教授。同学部付属病院子どものこころ診療部長。日本自閉症協会理事。著書に「自閉症スペクトラム」など。

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1件 のコメント

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失敗や異常を叩く日本の文化との付き合い

寺田次郎 関西医大放射線科不名誉享受

SNSでの非難、批判も集中砲火を浴びると面白いものです。 かりそめでも匿名になると攻撃性が増すというのは、人間の本性がその程度のものだという証拠...

SNSでの非難、批判も集中砲火を浴びると面白いものです。
かりそめでも匿名になると攻撃性が増すというのは、人間の本性がその程度のものだという証拠です。
実際、100年以上前は欧米の歴史はずっと血塗られてきましたし、太平洋戦争もありました。
残念ながら暴力性や戦争は人間の本性の一つです。

さて、面白い、というのは一晩おいて、角度を変えて分析すると面白いだけで、そういう知識や知恵、メンタルタフネスというのは経験や学習の賜物であって、小さな子供に求められるものではありません。
改めて、イジメがエスカレートしないようにするシステムの考案と共に、多様な価値観の持ち方とか言い返し方、逃げ方などを模索する実習も大事でしょう。

真実より好き嫌いや気分、わかりやすいものを優先する人間は普通であって、そういう個人や社会との付き合い方は核家族化や個人主義社会、スマホ社会の進行の影響で育ちにくくなっているので、代わりのものが必要です。

日本でちょっとデブとか肥満と言っても、欧米の凄い人に比べたら誤差範囲です。
また、肥満は正義でも悪でもなく。状態であって、付き合い方は人それぞれです。
様々な臓器の成長の加減もあるので、成長期には多少太ってから絞るのが良いんじゃないかと思います。

少なくとも30歳くらいまでは、未熟さと大きな変化の連続の中でちょっと心身に不安定なのが普通なので、その中で、一人でも多くの人間が壊れないような仕組みやユーモアを考えていく必要があります。
真面目過ぎてうまく行かないなら、時には不真面目もいいはずなので。

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