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認知症治療薬の最有力候補、治験中止から承認申請へ…前代未聞の大逆転なるか?

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 製薬大手のバイオジェン(米)とエーザイが共同で開発を進めていた認知症治療薬アデュカヌマブが、来年初めにも米国で承認申請される見通しだ。アデュカヌマブは、認知症の半数以上を占めるアルツハイマー病の根本治療薬として臨床試験(治験)が行われていたが、中間解析の結果、「有効性を示す可能性が低い」として、今年3月に中止された。「見込み薄」の評価から一転、承認申請へと動き出す異例の事態で、審査に当たる米食品医薬品局(FDA)の判断に注目が集まっている。(ヨミドクター 飯田祐子)

根本治療薬の開発は苦戦続き

 世界保健機関(WHO)によると、世界の認知症患者は5000万人で、2050年には、1億5200万人まで増えると推計されている。認知症の原因で最も多いアルツハイマー病は、まず脳内にアミロイドβ(Aβ)というたんぱく質が異常に蓄積し、続いてタウというたんぱく質がたまりながら、神経細胞が死滅していく。

 現在、使われているアリセプトなどの治療薬は、残った神経細胞の情報伝達力を高めるもので、いわば「対症療法」。Aβやタウを標的として、神経細胞が減るのを抑える根本治療薬の開発に、製薬各社が力を注いでいる。近年は、いくつもの新薬候補が、最終段階の大規模な臨床試験まで進んでいるものの、効果を証明できないケースが続いていた。

 アデュカヌマブは、少数の患者を対象とした臨床試験では、Aβを脳から取り除き、認知機能の低下を抑える効果がみられたとして、科学誌のネイチャーに論文が掲載された。新薬として承認を受けるため、多数の患者に投与して効果や副作用などを調べる二つの臨床試験が2015年にスタート。根本治療薬の最有力候補として期待されていた。

中間解析では「可能性が低い」

 中間解析は、18年12月までに18か月間の臨床試験を完了していた計1748人のデータを基に、外部の専門家らが行った。その結果、このまま続けても、目標としている効果を示す可能性は低いとの評価が下ったため、両社は今年3月に臨床試験を中止した。

 ところがその後、中間解析の後から試験中止までの約3か月間に得られた分などを追加した計3285人(うち、完了していたのは計2066人)のデータを内部で解析したところ、二つの臨床試験の片方で、認知機能の低下を抑える効果について、目標を達成していたのだ。

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