「続・健康になりたきゃ武道を習え!」 山口博弥
医療・健康・介護のコラム
ホロビッツ、ミラ・ジョボビッチ、ブブカといえば……
ピアニストのウラジーミル・ホロビッツ。
映画女優のミラ・ジョボビッチ。
陸上選手のセルゲイ・ブブカ。
総合格闘家のイゴール・ボブチャンチン。
さて、この人たちの出身国はどこでしょう?
すぐに答えられる人は、なかなかの「通」。
答えは、東ヨーロッパの共和制国家、ウクライナだ。恥ずかしながら、彼らが同国の出身だとは私(山口)は知らなかった。なんとなく、「ヨーロッパの東の国の出身」くらいのイメージしかなかった。
ウクライナとゆかりのある日本の有名人もいる。
大鵬の父親はウクライナ出身
大相撲の昭和の大横綱、大鵬(本名・納谷幸喜。2013年1月死去)。「巨人・大鵬・卵焼き」という流行語を生んだほど子どもに人気のあった彼は、1940年、樺太(現・サハリン)で、ウクライナ出身の父親と日本人の母親との間に生まれた。昔は「父親はロシア(ソ連)出身」と誤って伝えられ、今でもそう思っている人もいるようだが、ウクライナ出身が正しい。
ウクライナと言えば、最近ではトランプ大統領の「ウクライナ疑惑」がよくメディアを騒がせているが、冒頭に挙げた有名人や大鵬関のことを思えば、私たち日本人も同国を身近に感じるのではないだろうか。
「大鵬さんとは何度も会いました。親交を深め、一緒にちゃんこ鍋を食べたこともありますよ」
日本に住むウクライナ人のユーリ・ルトビノフさん(45)は、なめらかな日本語でそう言って目を細める。仕事は在日本ウクライナ大使館の公使参事官、簡単に言えばウクライナの外交官だ。
「即位礼正殿の儀」に国として初参加
ルトビノフさんは、先月行われた天皇陛下の「即位礼正殿の儀」での一連の催しで、外交官としての手腕を発揮した。世界180か国以上から来賓が集まるなか、ウクライナ本国からは大統領や外相らが来日するため、ルトビノフさんは大使館の責任者として7月から本格的な準備に奔走。式典や会食など行事への大統領の出席、安倍総理や衆参議長らとの個別会談、外相同士の会談、他国の首脳との会談のセッティングのほか、警備やロジスティクスなど、入念に準備を進め、滞りなく成功させた。
ウクライナは1991年のソ連崩壊とともに独立した国家。だから、30年前に行われた即位の礼の時、ウクライナはソ連の一部だった。今回の式典参加は、ウクライナという国としては初めての参加だったのである。
「それだけに、わが国としても歴史的で特別な訪問であり、すべてをきちんと行わなければなりませんでした」
「外交官としてのこれまでの知恵、経験、技術など、持っているものをすべて使う仕事でした。自分に何ができるのかチェックできるし、うまくいったかいかなかったか、はっきり結果として表れるのです」
空手を始めたウクライナの外交官
身長179センチ、体重92キロ。大きな体にスーツがよく似合う外交官には、別の顔がある。
11月20日の夜8時過ぎ。ルトビノフさんは、東京都渋谷区の極真会館総本部代官山道場にいた。白い道着に緑帯。4級の道場生だ。
なぜ、ウクライナの外交官が空手を始めることになったのか。
詳しくは次回に。(山口博弥 読売新聞編集委員)
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まさかの切り口に驚きました。
ロシアのプーチン大統領が柔道であれば、ウクライナは空手ですか?
ウクライナも第二次世界大戦や内戦前後でのロシアとの領土問題など、日本と同じ問題を抱えており、重要な国の一つですね。
また、最近再び脚光を浴びている杉原千畝を思えば、「ユダヤ人と関係がある」という視点もあります。
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