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Dr .ヒラの「知って安心 市販薬の話」

医療・健康・介護のコラム

頭痛薬を飲み過ぎて頭痛に 依存性のある成分に注意

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添付文書に「鎮静作用あり」は24品中4品のみ

  そこで、市販の「催眠鎮静薬を含む解熱鎮痛薬」24品の添付文書に、催眠鎮静薬に関する説明があるかを調べました。「鎮静作用あり」と書かれているのは、24品中4品だけでした。テレビCMでよく見かける商品も多くありますが、それらはいずれも「鎮静作用あり」の記載はなく、たいへん残念に感じました。

 医療従事者にとっては、「鎮静作用あり」の成分が入っているとわかれば、薬物乱用や依存を防ぐよう、より注意が必要と気づきやすくなるので、大変ありがたいです。市販の解熱鎮痛薬に使われる催眠鎮静薬は、アリルイソプロピルアセチル尿素とブロモバレリル尿素ですが、どちらも医療現場ではほとんど使われない古い成分で、認知度は低く、気づきにくいのです。

市販薬こそ、わかりやすい説明が必要

  一方、「鎮静作用」という用語だけでは、一般の方にとっては不十分かもしれません。同様の成分が配合されている医療用医薬品には、「痛みに伴う不安、不快感、恐怖心等の (とう)(つう) 反応を除去することにより疼痛を緩和するとともに、鎮痛薬の作用を増強する」と記載されています。市販薬にこそ、わかりやすい説明が必要なのではないでしょうか。

 なお、いずれの製品でも、添付文書の使用上の注意欄に「服用後、乗物又は機械類の運転操作をしないでください」との記載はあります。しかし、この記載だけで、催眠鎮静薬が含まれていることを知ることは難しいと思います。

 「催眠鎮静薬を含む解熱鎮痛薬」については、気がかりな製品カテゴリーですので、2019年7月のコラムでも「眠気」の切り口で説明しました。併せてお読みいただけるとうれしいです。

 19年1月にスタートした本コラムは、今回で最終回です。これまでの12回のコラムですが、解熱鎮痛薬に関するコラムが8回、かぜ薬2回、鼻炎用内服薬と (ちん)(がい)(きょ)(たん) 薬の両方が関連したコラムが1回、漢方薬1回でした。振り返りますと、内科医の経験によるコラムということでの偏りがありました。眼科や耳鼻咽喉科、皮膚科など他科の医師がコラムに加わると、より幅広く「知って安心 市販薬の話」となることは間違いありません。今後への宿題ですね。

市販薬データ集「クスリ早見帖」を全国の医療機関に配布

 さて、私は14年から市販薬データ集『クスリ早見帖』を、全国の医療機関に届ける活動を展開しています。『クスリ早見帖』の2019年版で初めて、市販の点眼薬や点鼻薬、皮膚用の (なん)(こう) などを掲載しました。病院・診療所向けには『クスリ早見帖』の最新版を無償提供しておりますので、ご関心のある方は、下記サイトの「クスリ早見帖無償配布の宛先登録方法 」をご覧ください。

http://www.plamedplus.co.jp/development/

 また、ツイッターFacebook では、『クスリ早見帖』に関するニュースを中心に、市販薬に関するあれこれを情報配信しております。ぜひともフォローください。

 本コラムでは、市販薬とのより安全な付き合い方を考えるきっかけにしていただきたいとの思いをもとに、医療現場で遭遇するケースを使って、市販薬の「成分」を切り口に説明してきました。そのため、見慣れない用語が多く登場し、とっつきにくかったことと思いますが、毎回、できるだけわかりやすくなるよう、編集していただいたり、オリジナルのイラストを付けていただいたりと、ヨミドクターのスタッフの皆さまにはたいへんお世話になりました。

 最後までお読みいただき、深く感謝いたします。1年間、ありがとうございました。(医師 平憲二)

 

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dr.hira-prof150

平 憲二(ひら けんじ)
 1966年、宮崎県生まれ。総合内科専門医。株式会社プラメドプラス代表取締役。91年、宮崎医科大学(現・宮崎大学医学部)卒。2001年、京都大学大学院医学研究科博士課程内科系専攻修了(臨床疫学)。03年、京都大学病院総合診療科助手。05年に株式会社プラメド、13年に同プラメドプラス設立。著書に「クスリ早見帖ブック 市販薬354」(南山堂)、「クスリ早見帖副読本 医師が教える市販薬の選び方」(PHP研究所)、「クスリ早見帖ポッケ かぜ・解熱鎮痛・咳止め・鼻炎の市販薬」(大垣書店)。

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1件 のコメント

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症状とリスクと投薬と検査の交通整理

寺田次郎 関西医大放射線科不名誉享受

いまは、薬局認可の薬剤も増え、薬剤師のかかりつけ医化も水面下で進んでいるように思います。 大病院の医療が高度になっていく中で、ある程度仕方ない部...

いまは、薬局認可の薬剤も増え、薬剤師のかかりつけ医化も水面下で進んでいるように思います。
大病院の医療が高度になっていく中で、ある程度仕方ない部分もありますが、一方で、検査なしに投薬を重ねる意味は分かったうえでやる必要があります。
医師の診察や検査無しの投薬が良いか悪いかではなく、潜在的な救急疾患との距離感や時間軸の意識が大事なのではないかと思います。

何度か、コメントを寄稿させていただきましたが、こういう市販薬の切り口は大事です。
薬は毒でもあり、鎮痛剤の中毒や鎮痛効果にマスクされる疾患の存在の意識は大事です。
また、偏頭痛様の症状があって、その診断に基づいて投薬されている中で、他の疾患の存在や発育が見逃されるケースもあります。
学会演題で行けば、「○○の診断のもと経過観察されていたが、××が発覚した一例」というやつですね。

40代女性であれば、モヤモヤ病や脳卒中のリスクの除外の為に頭部MRIの撮像も考えてよいとは思います。

長らくお疲れ様でした。
またの機会をお待ちしております。

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