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子どもの健康を考える「子なび」

医療・健康・介護のコラム

病気のサイン(9)風邪で発熱 薬服用に注意

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  病気のサインでは、兵庫県立こども病院救急総合診療科部長の上村克徳さん(52)に聞きました。(聞き手・藤沢一紀)

 細菌性髄膜炎や川崎病など重い病気を中心に紹介してきましたが、患者数が多い病気は何と言っても風邪です。一生を通じて避けられず、うまく付き合っていく必要があります。治療の基本は症状にあわせた対症療法。このシリーズの最後に改めて知ってほしい身近な病気です。

 冬が近付いて冷え込み、乾燥する日が多くなってきました。小児科医が最も忙しくなる季節です。発熱や鼻水、鼻づまり、喉の痛み、声がれなどサインは様々。熱に浮かされる子供の苦しみを和らげてあげたいと考えるのが親心ですが、残念ながら風邪に特効薬はありません。

病気のサイン(9)風邪で発熱 薬服用に注意

 風邪は正式には「かぜ症候群」と呼び、主に鼻や喉などの上気道にウイルスが感染して起きます。風邪のウイルスは約200種類あるとされ、保育園や幼稚園、小学校で集団生活している子供は常にウイルスにさらされているのです。

 熱で苦しむ子供に解熱剤を使用する場合はあります。しかし、抗菌薬(抗生物質)は効きません。頻繁に服用すると、抗菌薬の効かない耐性菌を生む弊害があるので要注意です。抗ヒスタミン薬は脳の機能を抑制する作用があります。子供ではけいれんが起きやすくなることがあり、注意が必要です。

 風邪を引いたら衣服や布団、暖房などで十分に温めてあげましょう。体を温めれば免疫力も向上します。しっかりと水分を補給し、ゆっくりと体を休ませることが大切です。

 約5か月にわたって子供の病気を解説してきました。普段とは違うせきや見慣れない発疹に気がついたら撮影するなど、病気のサインを医師に伝える手段はたくさんあります。子供からのサインを見逃さないであげてください。ありがとうございました。

【略歴】
上村克徳(かみむら・かつのり)
 小児科医。愛媛大卒。国立成育医療研究センターなどを経て、2017年から現職。編著書に「HAPPY!こどものみかた 2版」など。

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2件 のコメント

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自然な体の仕組みやサイクルをどう考えるか

寺田次郎 関西医大放射線科不名誉享受

日本心血管内分泌代謝学会などの合同学会CVMWに来ています。 循環器関連学会らしいホルモンや心不全、高血圧だけでなく、炎症もキーワードになります...

日本心血管内分泌代謝学会などの合同学会CVMWに来ています。
循環器関連学会らしいホルモンや心不全、高血圧だけでなく、炎症もキーワードになります。
また、演題からは心臓や代謝の諸問題が先天的な遺伝子の問題から、エピジェネティクス、生活習慣などが絡み合った複雑な問題であることも分かります。

本文を思い出すと、疑問が湧きます。
ワクチンの計画的感染はOKなのに、子供の自然な感染や発熱はいけない事なのか?
感染に伴う諸症状への対応やわずかでも死亡や後遺症の可能性がある事が良くないという基準は、人間社会や大人の都合であって、良くも悪くも傍らにあるもの、という見方もできるのかもしれません。

女性の生理による周期的な出血と代謝が男女の寿命の差の一つという俗説もありますが、証明されなくても、証明不可能でも、現実にある事象を冷静に読み解くと現在の主流意見に対するいくつかの仮説も浮かび上がります。

スポーツの筋トレもそうですが、負荷と超回復という炎症サイクルが人間の成長です。
どこまでのリスクや投薬がベターか意見は分かれる事でしょう。

そういう目線で見ると、インフルエンザ児の投薬による異常行動なんかでも投薬無しと優位差無しと改めて結論されましたが、安易に結論づけずに、データや臨床とすり合わせて経過観察していく必要があります。(治療方針は時代のトレンドにある程度左右されざるを得ない)

そして、あくまでも推定診断による薬の処方の意味やその後の診断のステップアップなどのワークフローのシステムを考えていく必要があります。
勿論、医師個人の経験も大事ですが、AIやITに家族や一般人、一般医師も含めて、より良い医療システムを組み上げる必要性があります。
小児の発熱だけの話でもないですけど。

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風邪より怖い類似症状とワークフローの戦略

寺田次郎 六甲学院放射線科不名誉享受

風邪を診れる医者になりたいと言っていた大学の同級生を思い出しました。 卒後は学会で1-2回顔を合わせただけですが、風邪のようなコモンディズイーズ...

風邪を診れる医者になりたいと言っていた大学の同級生を思い出しました。
卒後は学会で1-2回顔を合わせただけですが、風邪のようなコモンディズイーズ(よくある疾患)とは真逆の放射線科で後期研修を積んだ自分との縁も考えさせられます。
彼の言葉は僕の人生を大きく動かしたのかもしれません。
風邪よりも風邪に似た重症疾患の初期症状が怖いかもしれない、と研修医時代に思いました。

風邪は積極的な診断を疑うものではなく、類縁疾患を含めて考えてサポートするものです。
発熱、咳嗽、喀痰、関節痛、頭痛、全身倦怠感、悪寒、動悸、いずれも風邪だけに特有の症状はありません。
むしろ、風邪や各疾患の初期症状をどうコントロールするかが問題になります。

市販の風邪薬も有用で、それで収まらないことが一つの情報になります。
CTやMRIで発覚した、風邪や上気道炎疑いで経過観察されていた重症疾患など学会演題よろしく枚挙にいとまがありません。
子供は、臓器の予備能(余裕)も少なく、心身共に不安定なので、特に難しいですね。

長い間お疲れ様でした。
また、学会などでお会いすることがあれば、よろしくお願いします。
小児科は向かないのでやりませんが、家族ができた時の為の勉強は欠かさないようにしたいと思います。

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