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Dr.イワケンの「感染症のリアル」

コラム

ペスト ノミが媒介 かつて「黒死病」と恐れられ

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世界的には多くの発生報告 米西部でも

  で、話を戻しますと、この中国の肺ペスト話を聞いたとき、ソーシャルネットワークではかなりパニクったコメントが見られました。怖い、中国行けない、中国からの渡航を禁ずるべきだ、みたいな。

 そんなことしなくて、大丈夫。というか、ペストってわりとよくある感染症なんですよ、世界的には。例えば、マダガスカルでは毎年何百というペストの症例が報告されている「ペスト大国」です

 まあ、しかし多くの日本人にとってアフリカの島は遠くて「どこそれ、マダガスカル」みたいな認識かもしれません。

 では、先進国はどうでしょう。例えば、アメリカ合衆国。アメリカでも毎年ペストが報告されています。西部に特に多いです。そのうち2割は肺ペストで、死亡例もあります。もっとも、抗菌薬の治療で現在では大多数の患者は治癒するのですが。

怖いが、パニクる必要はない

  ぼくもアメリカでの後期研修医時代、ペストを1例経験したことがあります。ぼくがいたニューヨークにはペストはまれなのですが、サンディエゴからの旅行者でした。手足が 壊死(えし) して黒くなり、なるほど黒死病と呼ばれるわけだと思いました。

 ペストは怖い。でも、パニクるほどの怖さはない。大事なのは雰囲気やイメージでパニクるのではなく、ちゃんとデータを見ること。アメリカで毎年発生していると知れば、中国で数例見つかったからといってパニクる理由はないですよね。クールに論理的に対応するのが、感染対策の基本です。(岩田健太郎 感染症内科医)

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岩田健太郎(いわた・けんたろう)

神戸大学教授

1971年島根県生まれ。島根医科大学卒業。内科、感染症、漢方など国内外の専門医資格を持つ。ロンドン大学修士(感染症学)、博士(医学)。沖縄県立中部病院、ニューヨーク市セントルークス・ルーズベルト病院、同市ベスイスラエル・メディカルセンター、北京インターナショナルSOSクリニック、亀田総合病院(千葉県)を経て、2008年から現職。一般向け著書に「医学部に行きたいあなた、医学生のあなた、そしてその親が読むべき勉強の方法」(中外医学社)「感染症医が教える性の話」(ちくまプリマー新書)「ワクチンは怖くない」(光文社)「99.9%が誤用の抗生物質」(光文社新書)「食べ物のことはからだに訊け!」(ちくま新書)など。日本ソムリエ協会認定シニアワインエキスパートでもある。

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1件 のコメント

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稀な感染症の拡大を防ぐシステムについて

寺田次郎 関西医大放射線科不名誉享受

アラフォーの僕は有名な漫画の黒死拳で初めてペストを知りました。 そして、ペストの流行を世界史で学びます。 ちょうど地域医療崩壊の記事も隣にありま...

アラフォーの僕は有名な漫画の黒死拳で初めてペストを知りました。
そして、ペストの流行を世界史で学びます。

ちょうど地域医療崩壊の記事も隣にありますが、情報や制度の整備があってこそ、安心して働けますよね。
一般の医療職にペストの細かい診断治療はできなくてもいいです。
採算の問題もあって、稀な疾患の対策は国家中枢機関や大学、あるいは各地域の支部くらいで十分でしょう。
ただ、自分の知らない症状や疾患に正直であれば良いと思います。
僕も頭部のマニアックな腫瘍や感染症の画像診断の細かい鑑別は苦手ですが、他の検査機器やデータや書籍の整った医療機関に送ればいいと知っています。

利権もあまり細かいことを言うと進まないのが人の世なので、「黒でも白でもネズミを捕るのが良いネズミ」の感覚でいいのではと個人的には思います。

これから、高齢化社会による易感染性、LCCや観光立国による大勢の観光客の往来の影響で、思わぬところで、思わぬ疾患の出現や流行も可能性としては準備するべき時代です。
いずれにせよ、情報系統や指揮系統の整備は必須ではないかと思います。
感染症対策は経済戦争の一環で、コストや人材が必要なのは仕方ありません。

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