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リングドクター・富家孝の「死を想え」

医療・健康・介護のコラム

「医師を呼んで!」と訴えた患者 放置され死亡…京大が犯した3つの「開いた口がふさがらない」重大ミス

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私の息子は造影検査で右半身まひ

 私はこれまで、医療過誤を告発する本を何冊か書いてきています。また、自分の息子も、大学生のときに医療過誤にあい、障害を持つ身となったので、医療ミスに関しては、一家言があります。息子の場合も、造影検査がアダになりました。

 手足のしびれが続くので母校の病院に連れて行ったところ、「脳血管障害」を疑われ、診断をするために、必要もない造影検査を受けさせられたのです。そして、検査中に脳梗塞を起こし、右半身がまひしてしまいました。 

 医療過誤が起こるのは、たいていの場合、検査か手術のどちらかです。検査も手術も、経験がない未熟な医師や看護師が行った時は要注意です。しかし患者側が、そうした医師や看護師を見分けることは困難です。

医療過誤の報道は減ったけれど……

 最近、医療過誤の報道がめっきり減っています。しかし、医療過誤そのものが減ったわけではありません。医療過誤は、毎日、全国どこかの病院で間違いなく起きています。その死亡者数は、交通事故の死亡者数をはるかに上回るはずです。「はずです」と書かざるを得ないのは、驚くべきことに、日本には医療過誤の正確な統計がないからです。

 昨年の交通事故死者数は3532人で、毎日平均10人ほどの方が亡くなられています。これに対し、医療過誤による死者数は、その3倍以上、いや、数万人に達している可能性があります。

 というのは、人口が日本の約3倍のアメリカの医療過誤死亡者数が、1年間に約25万人だからです。2016年、アメリカで最も権威ある医学部を持つジョンズ・ホプキンス大学の研究チームが発表しています。

日本の医療過誤の把握は不十分

 日本では、01年度から厚生労働省が全国の病院から医療事故の情報を収集するようになりました。現在、日本で医療過誤の統計を公表しているのは、日本医療機能評価機構(05年から)と日本医療安全調査機構(2015年から)の二つです。

 しかし、両者とも医療機関から上がってくる報告を基にしており、とくに後者は「医者のため」のもので「予期せぬ死亡例」だけの報告となっています。

 ちなみに、日本医療機能評価機構が公表している医療事故は、ここ2、3年は平均約4000件で、このうち死亡事例は300件、障害が残る可能性が高い事例は400~500件となっています。この数字をそのまま受け取る、医療関係者はいません。

京大のように自ら発表する例は珍しい

 このような点を考えると、今回の京大病院のように、医療機関が自ら発表する例は (まれ) です。たいていの場合、医療過誤は 隠蔽(いんぺい) されるので、院長自らが「患者さんご本人、そしてご家族には、薬剤の誤った処方による死亡という、期待を裏切るような結果となったことは誠に申し訳なく、心よりお () び申し上げる」とコメントするのも異例です。

 ミスを犯しても、ほとんどの場合、医者は認めません。患者側から民事訴訟を起こされても、ほぼ勝訴するからです。通常の民事裁判では、訴えた側が8割方勝訴するのに、医療過誤裁判では8割方訴えられた医者側が勝訴します。

 医者側は民事訴訟を起こされても痛くもかゆくもありません。民事ならミスはうやむやになり、必要な示談金は保険が下りるからです。しかし、刑事事件となると、そうはいきません。ただし、最近は、よほどのことでないと警察は介入せず、刑事告訴しても受理されません。

 遺族の方の悲しみは察するに余りありますが、今後、どのように対応されるのでしょうか? (富家孝 医師)

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富家 孝(ふけ・たかし)
医師、ジャーナリスト。医師の紹介などを手がける「ラ・クイリマ」代表取締役。1947年、大阪府生まれ。東京慈恵会医大卒。新日本プロレス・リングドクター、医療コンサルタントを務める。著書は「『死に方』格差社会」など65冊以上。「医者に嫌われる医者」を自認し、患者目線で医療に関する問題をわかりやすく指摘し続けている。

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1件 のコメント

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医療の財源と人材はどこから来るのか?

寺田次郎 関西医大放射線科不名誉享受

個人的見解としては、隠しきれなくて、公表するという手続きを踏んだのではと思います。 背景にはカルテの電子化や様々な情報保持の方法の出現やその扱い...

個人的見解としては、隠しきれなくて、公表するという手続きを踏んだのではと思います。
背景にはカルテの電子化や様々な情報保持の方法の出現やその扱い方の流布があります。

この事故や類似案を巡る意見もネット上で目にしますが、個人の責任より組織やシステムの追及をより大事にしないといけない理由は、責任転嫁で関係ない奴のクビが飛びうる医療閨閥社会のリアルだからです。
タブーに手を付けるとでも言った方がいいかもしれません。

さて、直接関係はありませんが、昨今は昔に比べ、医療の効率化や医療費抑制がよく言われます。
ITや画像診断の進歩も著しいですが収益や安全性のシステムや人材は追いついていません。
理解も構造も、なにもいじらず、医療の高度化と効率化に加えて収益性や接遇を求められ、経験や知識の足りない若者ばかりの現場に責任だけが下りれば、何が起こるか?

全てを公表することが適切とは思いませんが、今回の大事故も様々なステップを踏んでいるわけで、トカゲのしっぽ切りばかりでなく、その背景事情も含めて考えて改善していかないと、いつまでも現場で患者と新人が倒れ、医療インフラの連鎖崩壊になっていくのではと危惧します。

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