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認知症介護あるある~岡崎家の場合~

医療・健康・介護のコラム

今度は母の介護に苦戦…主婦VS主婦の家事バトル!

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娘とヘルパーに依存

 その後、気の合う訪問ヘルパーに出会え、今では「〇〇さんが来るのが、毎週楽しみ!」と、散々、抵抗したこともすっかり忘れたかのような手のひら返し! おしゃべりが盛り上がり、時間をオーバーすることもしばしばで、とうとうケアマネジャーから「おしゃべりは、介護サービスの範囲ではないので……」と、注意を受けてしまいました。

 そんなハプニングに見舞われながらも、当初は「母さんの機嫌がいいのは何より」なんて思っていました。ところが、次第に母さんが私やヘルパーさんに頼ることが増えてきて、それまでは自分でできていたこともやらなくなっていったのです。

幼子の指摘で目がさめた

 今思えば、この時点で、自分でできることは自分でやってもらうように軌道修正すべきだったのですが……。体の衰弱がさらに進んだ母さんは、急に気持ちの方も弱くなったようで、あの関西のオバちゃんキャラはどこへやら。これまでだったら、私とケンカになりそうな場面でも「ごめんね」と自分から謝ってくるので、こちらはすっかり戦意喪失。その弱々しい姿が心配やらふびんやらで、それまで以上に実家にせっせと通うようになってしまったのです。

 それを見た私の息子のたー君が、「ばあちゃんは、なんでもかーちゃんにやってもらっているね」と一言。この言葉が引っ掛かっていたところに、座っている母さんからほんの2、3歩先にある炊飯器のボタンを「押して」と頼まれて、「マズい。このままでは、母さんは自分で何もできなくなる」と、強い焦りを感じました。

心を鬼にして…

 母さんの主治医に相談に行くと、「ここまで衰弱してしまった原因については検査中だけど、すっかり気持ちまで弱り、食べないことで体が衰弱していることは間違いない。生きるためのやる気を取り戻し、まずは食事をちゃんととってほしい」と、言われました。

 これまでは、どんなことがあっても強気で前向きだった母さんが、なぜそこまで気弱になってしまったのか。父さんを老健に託して、気が抜けた? それとも、最近、よき理解者だった母親(私の祖母)が亡くなったのが、やっぱり大きかったのかも。あるいは、母さんといえども、寄る年波には勝てないのか……。思い当たることはいくつかありますが、まずは「依存」と「衰え」の連鎖を断ち切らねば。

 「母さんのため」と心を鬼にして、手助けは本当に必要な時だけと決め、見守り介護に徹することにしました。しかし、母さんの方もなかなかに手ごわい。ただ立ち上がるだけでもえらく時間がかかったり、つえをつく手にも力が入らずよろけたり。そのたびに「こんなに弱った私のことを助けてくれない。鬼娘~」などと恨みがましく訴えてくるので、元々、さほど強くない私のハートがグラグラ揺れています。こちらの精神力も試される日々です。(岡崎杏里 ライター)

 登場人物の紹介は こちら

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認知症介護あるある~岡崎家の場合~

岡崎杏里(おかざき・あんり)
 ライター、エッセイスト
 1975年生まれ。23歳で始まった認知症の父親の介護と、卵巣がんを患った母親の看病の日々をつづったエッセー&コミック『笑う介護。』(漫画・松本ぷりっつ、成美堂出版)や『みんなの認知症』(同)などの著書がある。2011年に結婚、13年に長男を出産。介護と育児の「ダブルケア」の毎日を送りながら、雑誌などで介護に関する記事の執筆を行う。岡崎家で日夜、生まれる面白エピソードを紹介するブログ「続・『笑う介護。』」も人気。

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日野あかね(ひの・あかね)
 漫画家
 北海道在住。2005年にステージ4の悪性リンパ腫と宣告された夫が、治療を受けて生還するまでを描いたコミックエッセー『のほほん亭主、がんになる。』(ぶんか社)を12年に出版。16年には、自宅で介護していた認知症の義母をみとった。現在は、レディースコミック『ほんとうに泣ける話』『家庭サスペンス』などでグルメ漫画を連載。看護師の資格を持ち、執筆の傍ら、グループホームで介護スタッフとして勤務している。

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