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認知症介護あるある~岡崎家の場合~

コラム

今度は母の介護に苦戦…主婦VS主婦の家事バトル!

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今度は母の介護に苦戦!家事を巡る主婦vs主婦のバトル

漫画・日野あかね

腰痛から「寝たきり一歩手前」に

 卵巣がんなどの大病を患っても、これまで不死鳥のごとく復活してきた母さん。私とともに、父さんの在宅介護を頑張ってきました。ところが、今年の夏のちょっと前から体調を崩し、自身も介護が必要なほど弱ってしまったのは、このコラムでお伝えしてきた通りです。

 最初は腰を痛めて寝込んでいたのですが、それで行動量がグッと減り、食欲も一気になくなって体重が激減。腰の状態は良くなってきているはずなのに、栄養失調で内臓にダメージが出てしまい、「常にフラフラする」と、寝てばかりいるようになりました。

 高齢者が骨折すると、動かなくなって筋力が衰えて、骨折が治っても寝たきりになってしまうケースがよくあるようですが、まさにその一歩手前の状態。もしかすると、介護老人保健施設(老健)で「ぬりえ」という生きがい(?)を見つけて、いきいきしている父さんよりも、ここ最近は母さんの方がよっぽど弱々しいかも!?という状況だったのです。

洗濯物の干し方でケンカ

 私は大雑把で、何に関しても「終わりよければすべてよし」。でも母さんは、豪快そうに見えて、実は過程を重視し、細かいことを気にするタイプです。特に家事に関しては、いろいろなこだわりを持っています(母さんがしゅうとめだったら大変だ!)。

 東北生まれなのに、関西のおばちゃんキャラ(←あくまで私のイメージ)のため、体は動かなくても、口はよく回る。「体調が悪いから、杏里やって!」と、家事をガンガン頼んできます。

 ところが、洗濯物の干し方ひとつとっても、私は「乾いて畳めば一緒でしょ!」といった感じですが、母さんは、洗濯ハンガーがちょっと傾いているのも気になるのです。「常に水平になるように、洗濯物のバランスをとって干さなきゃダメ」など、とにかく指示が細かい。

 そして、お互い思ったことはすぐ口にしてしまう母娘という距離感ゆえ、タブーだとわかっちゃいるのですが、つい「じゃあ、自分でやれば!」という言葉が出てしまいます。すると母さんは「自分でできないから頼んでいるんでしょ!」となり、ケンカに発展するのです。

 「性格の違う母娘の介護生活は大変」という話を取材などで聞いたことがありましたが、ついこの間まで自立していた母さんの介護に、これほど手こずるとは。父さんが老健に一時入所して、やっと一息つけると思ったところに、伏兵の登場です。私が心安らかに過ごせる日は、いつ来るのでしょうか……。

介護のプロに応援要請

 母娘の関係をこれ以上悪化させないためにも、「介護のプロの手を借りよう!」と、父さんを担当してくれていたケアマネジャーに相談して、母さんに訪問ヘルパーをお願いすることにしました。

 遡ること十ウン年、母さんが卵巣がんで入院している間、父さんの介護に訪問ヘルパーを利用したことがありました。その時、「他人が家の中に入ってくるのは……」と、拒否反応を示していた母さんは、まだそこに抵抗感があるようです。「杏里がやればいいじゃない」なんて言うのですが、私にだって育児や仕事など自分の暮らしがあり、母さんの介護にかかりきりにはなれません。

 ケアマネジャーが「お父さんの今後のこともあるし、娘さんが今、倒れたら……」と、説得してくれた結果、渋々ながらも「わかった」と了解してくれました。

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認知症介護あるある~岡崎家の場合~

岡崎杏里(おかざき・あんり)
 ライター、エッセイスト
 1975年生まれ。23歳で始まった認知症の父親の介護と、卵巣がんを患った母親の看病の日々をつづったエッセー&コミック『笑う介護。』(漫画・松本ぷりっつ、成美堂出版)や『みんなの認知症』(同)などの著書がある。2011年に結婚、13年に長男を出産。介護と育児の「ダブルケア」の毎日を送りながら、雑誌などで介護に関する記事の執筆を行う。岡崎家で日夜、生まれる面白エピソードを紹介するブログ「続・『笑う介護。』」も人気。

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日野あかね(ひの・あかね)
 漫画家
 北海道在住。2005年にステージ4の悪性リンパ腫と宣告された夫が、治療を受けて生還するまでを描いたコミックエッセー『のほほん亭主、がんになる。』(ぶんか社)を12年に出版。16年には、自宅で介護していた認知症の義母をみとった。現在は、レディースコミック『ほんとうに泣ける話』『家庭サスペンス』などでグルメ漫画を連載。看護師の資格を持ち、執筆の傍ら、グループホームで介護スタッフとして勤務している。

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