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夫と腎臓とわたし~夫婦間腎移植を選んだ二人の物語

コラム

専門医に移れず悪化…病名を知るまでに10年かかった私が、信頼できる医師に出会うまで

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 生きていれば一度や二度は病気になるだろうし、場合によっては、慢性的な病を抱えてしまうこともある。患者が病を受け入れ、真剣に治療に取り組むためには、心から信頼できる医師の存在が必要不可欠だと私は思っている。ただし、この「心から信頼」という点が、私には難しかった。

 慢性腎臓病(CKD)を患っている私。日本腎臓学会によると、現在、腎臓専門医は、日本におよそ5000人いるそうだ。だけど、人には相性があるし、医師が「権威」であるほど 萎縮(いしゅく) して、腹を割って話せなくなるケースもある。心から信頼できる2人の医師に出会えるまでに、私は18年もかかってしまった。

転院のタイミングを逸し

 かなり前の話になるが、10代でCKDを発症した私は、近所の診療所から専門医のいる大病院に移るタイミングを計りかねていた。1990年代、インターネットは今ほど普及しておらず、圧倒的に情報不足だったし、10代の私は、目の前にいるかかりつけ医が、腎臓病の専門知識を持つと信じていた。かかりつけ医の方から、「そろそろ大きな病院でちゃんと専門医に診てもらったほうがいいよ」と提案してくれればよかったのだが、それもなく、結果として、専門医に頼るタイミングを逃してしまった。

 もっと早く転院していれば、寛解の可能性もあったのではないかと、今でも悔やんでいる。そうした後悔は、どなたにもしてほしくない。

23歳でようやく知った病名

 私の恩人の一人であり、現在の主治医である、東京女子医大病院の石田英樹先生が、「専門医にかかるタイミング」を教えてくれた。

  1. 血尿と 蛋白(たんぱく) 尿の両者が陽性で腎炎が否定できない場合
  2. 蛋白尿が2+以上
  3. eGFR(腎臓の糸球体が1分間にろ過する血液量)が45~50ml/min未満(70歳以下の場合)で、腎不全への移行リスクがある場合

 そうしたことを心得ていなかった私が、ようやく専門医にかかったのは、発症から10年後の23歳の時だった。就職を機に転院した会社の近くの病院で、初めて精密検査の腎生検を受け、自分が難病の「IgA腎症」を患っていると知ったのだ。

 当時の専門医と私の関係は、「一方通行の片思い」といった感じだった。会えるのは、月に一度の外来のみ。やっと会えた診察中も、会話らしい会話はなく、目が合わないまま「また来月」。私は外来の受診を重ねるにつれ、寡黙になっていった。

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もろずみ・はるか

医療コラムニスト
 1980年、福岡県生まれ。広告制作会社を経て2010年に独立。ブックライターとしても活動し、編集協力した書籍に『成約率98%の秘訣』(かんき出版)、『バカ力』(ポプラ社)など。中学1年生の時に慢性腎臓病を発症。18年3月、夫の腎臓を移植する手術を受けた。

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