文字サイズ:
  • 標準
  • 拡大

森本昌宏「痛みの医学事典」

医療・健康・介護のコラム

くしゃみをして痛かったら要注意…突然訪れる「魔女の一撃」=腰椎椎間板ヘルニア

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック

むくみを取れば劇的に改善

 治療の原則は安静である。痛みには、ヘルニアによる物理的な圧迫だけではなく、周囲組織の炎症、神経根炎、神経根周囲炎などによるむくみが大きく関わっている。したがって、このむくみを取ることで症状は劇的に改善する。ペインクリニックで多用する腰部硬膜外ブロックが、むくみの改善に絶大な威力を発揮するのだ。

 腰部硬膜外ブロックによっても十分な効果が得られない場合、私の施設では、椎間板内加圧注入(椎間板造影を行った後に局所麻酔薬と副腎皮質ステロイド薬を注入する)や、第2腰神経を中心とした神経根ブロック、腰部交感神経節ブロックを段階的に行っている。入院による持続的な骨盤 牽引(けんいん) 療法も有効である。

 4~6週間の持続牽引とさまざまな神経ブロック療法の併用によっても症状が軽くならない、膀胱直腸障害を伴う、痛み発作を繰り返すといった場合には、経皮的椎間板摘出術(髄核を取り出す)などの手術を考えるべきである。

ツーリングは完治してから

 ヘルニアによる腰痛の予防、悪化の防止のためには、重い物を持ち上げないことに加え、「無理な前傾姿勢を続けないこと」が大切だ。また、無理なトレーニングなどで腹圧を上げる動作は避けるべきである。

 読者のなかにも椎間板ヘルニアを抱えながら、「バイクが好きで好きで」といった 御仁(ごじん) がおられると思うが、いけません。バイクの前傾姿勢は、ヘルニアをより後方に押し出すようなものである。ペインクリニックでヘルニアをきっちり治してから、ツーリングを楽しんでいただきたい。(森本昌宏 麻酔科医)

2 / 2

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック

morimoto-masahiro

森本 昌宏(もりもと・まさひろ)

 大阪なんばクリニック本部長・痛みの治療センター長。
 1989年、大阪医科大学大学院修了。医学博士。同大学講師などを経て、2010年、近畿大学医学部麻酔科教授。19年4月から現職。日本ペインクリニック学会専門医、名誉会員。日本東洋医学会指導医。著書に『ペインクリニックと東洋医学』『痛いところに手が届く本』ほか多数。現在、大阪市北区の祐斎堂森本クリニックでも診療中。

森本昌宏「痛みの医学事典」の一覧を見る

コメントを書く

※コメントは承認制で、リアルタイムでは掲載されません。

※個人情報は書き込まないでください。

必須(20字以内)
必須(20字以内)
必須 (800字以内)

編集方針について

投稿いただいたコメントは、編集スタッフが拝読したうえで掲載させていただきます。リアルタイムでは掲載されません。 掲載したコメントは読売新聞紙面をはじめ、読売新聞社が発行及び、許諾した印刷物、読売新聞オンライン、携帯電話サービスなどに複製・転載する場合があります。

コメントのタイトル・本文は編集スタッフの判断で修正したり、全部、または一部を非掲載とさせていただく場合もあります。

次のようなコメントは非掲載、または削除とさせていただきます。

  • ブログとの関係が認められない場合
  • 特定の個人、組織を誹謗中傷し、名誉を傷つける内容を含む場合
  • 第三者の著作権などを侵害する内容を含む場合
  • 企業や商品の宣伝、販売促進を主な目的とする場合
  • 選挙運動またはこれらに類似する内容を含む場合
  • 特定の団体を宣伝することを主な目的とする場合
  • 事実に反した情報を公開している場合
  • 公序良俗、法令に反した内容の情報を含む場合
  • 個人情報を書き込んだ場合(たとえ匿名であっても関係者が見れば内容を特定できるような、個人情報=氏名・住所・電話番号・職業・メールアドレスなど=を含みます)
  • メールアドレス、他のサイトへリンクがある場合
  • その他、編集スタッフが不適切と判断した場合

編集方針に同意する方のみ投稿ができます。

以上、あらかじめ、ご了承ください。

最新記事