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がん患者団体のリレー活動報告

医療・健康・介護のコラム

一般社団法人 仕事と治療の両立支援ネット-ブリッジ

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 「がん患者の就労支援」という言葉は、ここ5年ほどで随分と世間に浸透してきたように思います。がん治療と仕事の両立はかつて難しかったのですが、医療の進歩によって、それが可能となってきました。がんとともに働くことができる環境の整備は、患者本人の生き方を支えると同時に、労働力の減少に直面する企業にも、社会保障費の抑制が課題である社会全体にも、必要とされています。しかし、がん患者が様々なつらさを抱えながら体調に合わせて働くことができる環境を整えることへの理解はまだ十分とは言えません。私たちは「病気になっても安心して暮らせる社会を実現する」ことを目的に、名古屋市を拠点として活動しています。

一般社団法人 仕事と治療の両立支援ネット-ブリッジ

がん患者への個人面談、企業での講演活動など

 活動を始めた当初は、患者さんのみを対象とした個人相談やワークショップなどでしたが、次第に企業の理解の促進、医療機関との連携などと必要性に応じて範囲が広がり、現在に至っています。具体的な活動は下記の通りです。

1.患者向け支援

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がん患者との個人面談の様子(イメージ)

  個人面談
 がん治療も労働環境も個別性が高く、一般論では対処できないことがほとんどです。就労支援を専門とする心理援助職である国家資格キャリアコンサルタントが、患者さん自身に納得していただける働き方を選択し実現できるように支援します。

  ワークショップ
 少人数による安心・安全を提供する場です。病気になったことで生じた心身の変化に適応できず、働くことに不安や困難を覚えることがあります。グループ内で話し合うことにより、自分自身と向き合い、自分らしいペースを取り戻すことができます。

  就活セミナー
 多くの支援事例から、就職活動において戸惑う共通点を抽出し、就職活動の基本的な姿勢、応募書類の書き方、面接の留意点、話しにくいことをどう伝えるかなどを学ぶ場を作っています。

2.支援者向け活動

  ブリッジ研究会
 医療機関の中では患者の立場、同時に企業においては労働者という立場があります。それぞれの立場にかかわる支援者は、他方の特性の理解が不足しがちです。各回のテーマにおける第一人者の講師から学び、医療と労働の垣根を越えて話し合い、相互理解を深めることによって、就労支援の土壌を育む研究会を3か月に1回開催しています。

  企業人事向け勉強会
 がん経験者が生き生きと働くことのできる環境づくりに取り組む民間プロジェクト「がんアライ部」(東京)の活動の一環として、企業の人事担当者を対象とした勉強会を名古屋で開催しています。

3.講演活動

 医療機関、企業、患者、一般市民を対象に、理解を促進するための講演活動を行っています。

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がん患者向けに作成した「がんとともに働く人のためのワークブック」

「これからの見通しが整理できた」と安心する患者も

 面談を終了した患者さんが「これからの見通しが整理できて、次に何をすればいいかわかりました」とホッとした表情をされるのは、支援者として大いに力を得る瞬間です。また、かつて面談した方が、後日(時には数年後)「当時は復職したけれど、治療法が変わったので、新しい働き方を探そうと思う」と連絡をいただくことも。治療における長いプロセスの中で、人生の質をより良いものにする支援が私たちの役割だと考えています。

 今後は、支援者の養成にも力を入れたいと思います。がん患者は人生の岐路に立ち、揺らぎやすい状態にあります。正しい医療情報を扱い、患者特性を理解した上で、的確に就労支援を行うことができるスペシャリストが必要です。まだまだやらなければならないことが多いのですが、一つずつ進めていきます。医療の進歩に見合った、暮らしやすい豊かな社会になることを願っています。

一般社団法人 仕事と治療の両立支援ネット-ブリッジ

 2012年、国の第2期がん対策推進基本計画で「がん患者の就労支援」が柱の一つとして取り上げられたのを機に活動を始めた。13年、任意団体を設立。16年10月に一般社団法人化。名古屋市で、国家資格キャリアコンサルタントの有資格者を中心に、仕事と治療の両立を支援する活動を展開している。愛知県で多職種・多業種と連携する「がん就労を考える会」に参画したり、様々な学会で発表したりと、支援の現場の声を発信する活動にも力を入れている。

 ホームページ  https://bridge-nagoya.jp/

 このコーナーでは、公益財団法人 正力厚生会が助成してきたがん患者団体の活動を、リレー形式でお伝えします。

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公益財団法人 正力厚生会

【助成団体募集】10月2日まで来年度の助成申請を受け付け中です。

 正力厚生会は1943年(昭和18)に設立され、2009年に公益財団法人となりました。「がん医療フォーラム」の開催など、2006年度からは「がん患者とその家族への支援」に重点を置いた事業を続けています。
 現在は、医療機関への助成と、いずれも公募によるがん患者団体への助成(最大50万円)、読売日本交響楽団弦楽四重奏の病院コンサート(ハートフルコンサート)を、事業の3本柱としています。
 これからも、より質の高いがん患者支援事業を目指していきます。
 〒100-8055 東京都千代田区大手町1-7-1 読売新聞ビル29階
 (電話)03・3216・7122   (ファクス)03・3216・8676
  https://shourikikouseikai.or.jp/

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