Dr.えんどこの「皮膚とココロにやさしい話」
医療・健康・介護のコラム
「ウオノメ」…正しくはニワトリの目だった!
タコはアイヌ語由来? たんこぶも
問題は「タコ」です(笑)。ウオノメのような見た目でも、「○○イボ」のような喩えでもありません(医学用語では「 胼胝 といいます)。皮膚科医になった時から「そもそもなんで『タコ』って言うんだ?」「ペンだことかも同じだろ?」「さすがに海にいるタコが由来じゃないよな。ん? それにしてもタコ(蛸)って、なんで漢字で書くと虫へんなんだ?」などと、ずっと思っていました。
アイヌ語にタップコップという言葉があります。タップコップとは「小さい丸山」「盛り上がり」を意味し、漢字で書くと「多峰古峰」です。実際に多峰古峰山(タップコップ山)という山もあります。どうやらこれが「たんこぶ」の由来らしく、さらに変化して、そのような地形の土地は、多古、田子、達古などという地名や山の名前になっているそうです。そう考えると、足のタコも、ペンだこも、いわゆる座りだこも、確かに丸く盛り上がっていますね。
ちなみに海にいるタコも頭(正しくは胴ですが)が丸く盛り上がっている形から「タコ」と呼ばれるようになったのでは?ということでしたが、その姿から「足が多い=多股」となったという説の方がやはり自然だし、普通に考えればこちらでしょう。
虫へんの謎
ちなみに蛸という字は、本来はこれ1文字で 蜘蛛 のことを指しているらしく、もともとタコは「海蛸」と記載されていたそうです。8本の足がクモのように見えたので、「海のクモ」という意味で「蛸」の字が用いられたのではないかと考えられています。なるほど、だから虫へんなのかと納得です。
でも、あれ? よく考えてみると、 蛇 も 蝮 もハチュウ類なのに虫へんだぞ。でもハチュウ類って漢字で書くと爬虫類か。立派に「虫」という字が入っているじゃないか。うーん、もう訳がわからなくなってきた。両生類の 蛙 だって虫へんだし。とどめに「 蝙蝠 」。我々と同じ哺乳類のくせに、なに堂々と虫へんなんだよ……。もはや収拾がつかなくなってきたので、今回のコラムもそろそろお開きにします。最終的に何が言いたかったかというと、一番訳がわからんと思っていた「タコ」が、実は一番奥深かったということでしょうか。これだけ話が広がったわけですからね。
先日、「ミニにタコ※」発言で知られる方のニュースが流れていました。本人も、もう二度とそれに手を出してはならないというのは「耳にタコができる」ほど聞かされていたはずなのに……。薬物依存の怖さを改めて思い知らされました。
※だいぶ前のことなので、ご存じない方はご検索ください。(遠藤幸紀 皮膚科医)
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